逆さ磔の悪魔
グッドゲーム
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「いつの間にか戻ってたんだろ。どうなってる?」
『それが、戦闘機の損耗がやたら酷いらしいネ。爆撃機と攻撃機は弾薬と燃料を使い果たしてた以外はなんともないケド……』
金剛からの無線から察するに、どうやら航空戦力を黙って拝借されたらしい。
そんなことをするとしたら、誰がやったかくらいは、おおよその見当を付けている。
言えば、すっとぼけるようなことはしないだろう。
「提督、蒼征から寄港許可の要請です。」
大淀からの連絡に、金城はこう答えることにした。
どうやら振り回すだけ振り回して、最後の最後で決着は向こうに持って行かれたらしい。
せめて、キッチリ賄うべきものは賄ってもらうとしよう。
「こっちからも用がある。ちゃんと財布を握りしめて来るように伝えとけ。」
「お財布握りしめて来い、か。参ったな、これは。」
第二甲板上、そこで壬生森は熊野から受け取ったブルネイの返答を見る。
「加賀、これ絶対バレてるな。」
「でしょうね。手元から航空機がなくなって、帰ってきたと思ったら戦闘で損耗してたなんて、こんなオカルトまがいなことをやるとしたら、タイプオリジナルの空母の仕業と見るでしょう。」
「それ、完全にお前のことだな……熊野、向こうは大淀の中でもとりわけやっかいな部類のが付いてる。交渉は、手強いぞ。」
「この後のみんなのディナー次第では、尽力しますわ。」
潮風が抜ける中、壬生森に集まる視線。
ここには加賀と吹雪、そして叢雲も角で座り込んでいる。
その上で熊野がこうして、返答文を持ってきた。
困ったことに、ここにいない者も含めて、食いしん坊がかなり多い艦隊だ。
壬生森は、仕方ない、と決断する。
「BarAdmiral、何人まで入っていいか聞いてみよう。向こうさんに面倒はかけないようにな。」
吹雪がやった、という顔をして喜んでいる。
加賀も、にこりと珍しく表情に出る。
叢雲は、言質を取ったと言わんばかりに立ち上がって、艦内に入る。
そして熊野は、改めて笑顔で訊く。
「返信はいかがしますの?」
「こう送ってくれ。『ウチの連中がたまにはいいメシ食わせろとうるさい。救援を求む。』と。」
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