逆さ磔の悪魔
グッドゲーム
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うな器官を頭に被った小柄な深海凄艦の姿。
加賀の攻撃がそいつを隠していた覆いを引き裂くと同時に、熊野から通信が入る。
『新たなターゲット捕捉!提督!』
熊野の通信から、壬生森がCICにいないことを把握した加賀は、そこでようやく、彼女が陣取る第二甲板に壬生森が来ていたことに気付く。
彼は、すっと手を挙げ、振り下ろすと同時に指を鳴らす。
彼が指した先には、奴等がいる。
「ぶちかませ!叢雲!」
「言われなくても!」
リバースド・ナインが苦し紛れに放った航空機を、加賀は自分の本来の艦載機である烈風で正面から全て打ち破って。
そこを駆け抜け、叢雲は飛び上がる。
その手には、やはり、いつものように、ピリオドを穿つがための槍。
「やっと見つけたわよ、『ヴェスタル』!」
叢雲の槍が、光の嵐を纏い、掲げられる。
「竈の巫女!ここで消えなさい!」
リバースド・ナインが叢雲を止めようと駆けようとしたところに、足下で魚雷が炸裂し、水柱に足止めされる。
水柱の崩れるその向こうから、木曾が両手に剣を持って振りかぶる。
受け止めようとするも、コンマ一秒が足りなかった。
「出番の終わった脇役はすっこんどけ!」
まるで、叩き潰すように振り下ろした一撃は、それだけでリバースド・ナインを海底に送り返す。
斬った、というよりも叩き潰したというべき一撃で、グシャグシャに引き裂かれて、水底に埋め込まれたのだ。
そして、木曾は後ろに飛び退く。
「叢雲、やっちまえ!」
木曾の言葉を聞いてか、叢雲の槍がついに空から投げ込まれる。
まっすぐに疾走し、上半身と下半身の付け根のような部分に槍は突き刺さり、貫く。
叢雲が着水し、立ち上がって、今まさに沈もうとする彼女のほうを見る。
「工作艦ヴェスタル、竈の巫女、貴女が今度は味方であることを願うわ。」
光が強まり、そして弾け飛ぶ。
飛んで返ってきた槍をキャッチした叢雲が見た先にはもう、全てが終わった、凪いだ蒼しかなかった。
叢雲はそんなものに興味も関心も、余韻も感傷もない。
「……まったく、ここまでが長すぎたわ。」
『だろうな。今夜は何かいいものを食おう。』
無線で聞こえてきた声に、叢雲は口元を上げる。
「今夜は高く付くわよ。覚悟なさい。」
「あれ?偵察機がいつの間にか戻ってるのじゃ。」
「着艦もさせてないのに、航空機が戻ってくるかよ。どこにあった?」
「いや、ホントにいつの間にか帰ってきたんじゃ。しかもこれ、さっきまで飛んでたようじゃ。」
利根が手で持てるサイズにした水偵は確かにエンジン部分がさっきまで飛んでいたかのように熱を持っていた。
『darling!空母達の航空隊が』
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