06.そうだ、刑務所に逝こう。
第19回
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!?」
え? え? 何時決まった。何時決めた。うわ、マジか。
「あ、え、あの……失礼しました!」
「いや、決まったのは本当に数日前ですから………」
「失礼しました!!」
あー如何為よ。殺される。
「………あの、柳瀬首領補佐と柳瀬幹部補佐は結婚していて………其方にいらっしゃるお嬢さんがお二人のお子さんで………合っていますか?」
「合っているわ、琴葉ちゃん。未だ貴女がこっちに居たときから、私達の関係は合ったけどね」
「………私が気付かなかっただけですか」
未だ未だ未熟だったな。その時の私。
「………オーイ。勝手に人の部下を攫うな、フラン」
「やぁ、葉月君! 一ヶ月振りだね、元気にしてた〜?」
「俺達の関係は友達じゃねえ!」
「何? 親友になりたいの〜?」
「そうじゃねえ!」
………馬鹿兄まで。何で居る。
「葉月お兄ちゃん」
「………………え?」
喉から擦れた声が出て来る。
『葉月お兄ちゃん』。確かに、柳瀬首領補佐のお子さんはそう言った。
「あー、如何為た? 涼花」
あー。如何為よう。今、無性に誰かに当たり散らしたい。此の際、フランさんでも良いや。後で殺されるかも知れなくても、誰かに当たり散らしたい。
「………………ッ!」
出口へ向かって走る。
倉庫から出て、街へ行く。
通行人の波を掻き分け、只管走る。
気付いたら、其処は既に人間の領土。
私達の世界とは、別の世界。
いっそ、このまま逃げてしまおうか。
また走り出す。
今出せる全力で脚を動かし、綺麗な星空の下を走る。
全てから逃げてしまいたい。
私が白猫に居た時に、自分の能力の存在を明かさなかったことが今日に繋がった。
きっと、自分の能力を明かしていたら、今頃馬鹿兄とも仲良くしていて、白猫で上手くやっていたことだろう。
全て自分の失敗。
体力を使い切り、近くの木にもたれ掛かる。
呼吸を整えつつ顔を上げると、其処は綺麗な庭園だった。
そう言えば、白猫の拠点の近くに、綺麗な公園が在るって聞いたことがあった。
透き通った水が溜まっている池に、星と月が映っている。
清々しい程の失敗だなあ。
ゆっくりと立ち上がり、池の方へ向かって歩を進める。
芝生が広がる地面から、小石が転がっている地面へ。
水が無かった所から、水が在る所へ。
池の中心へと、ゆっくりゆっくり歩を進めていく。
そして、腰までが水に浸かった時―――
「主」と背後
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