06.そうだ、刑務所に逝こう。
第19回
[1/4]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
フランさんから呼び出しを受け、現在私が管理する、K猫の領地の端にある倉庫に来ている。
月と星が、とても綺麗な夜だった。
「やぁ。漸く来てくれたね」
倉庫に入ると同時に、聞き慣れた声。何時もは安心していた声でも、今は嫌いな声だった。
「こんばんは、首領」
倉庫の扉を開けると、倉庫内に月光が差し込む。其処で漸く気付いた。
倉庫の中心辺りで、誰かが捕らわれている。
「……急に呼び出したと思えば、いきなり『殺せ』ですか?」
はっきりとは見えないが、人影は三人分。一人と二人で分けて拘束されている。一人は男性。二人の内の一人は女性で、もう一人は子供。
此処まで来れば、フランさんが言うことなど分かっていた。
「どちらかを殺せ」
嗚呼、面倒臭い。
如何為て私が呼び出される必要があった。
フランさんの指示を聞いても何も抵抗しないと言うことは、眠らされているか、耳を塞がれているか。取り敢えず、この位置からなら、誰が殺したかすら分からずに死ぬ。
まぁ、やる事は一つだけ。
殺せば良い。
「……………………………………………………ぁあ"あ」
自分を殺せば良い。
此れで犠牲は出ないし、此れ以上苦しむことも無い。
面倒臭い事も、嫌な事も、全て、全て終わり。
私はそれを望んでいたんだ。
「だいっ………きら、い………だ」
最期にポツリと呟いて、私は意識を手放した。
筈なのだが。
待て待て待て。如何為て傷が塞がった。私は確かに、短刀で心臓を一突きしたはずなのだが。
「………何で死ねないし。そろそろ死にたいよ!」
一人で騒いでいると、頭上から声が。
「まぁまぁ、琴葉ちゃん。落ち着いて、落ち着いて」
琴葉、ちゃん!!? なんだそれ、初めてその呼び方を聞いたかもしれない。
と言うか、此の声は………
「柳瀬さん!」
私が白猫に居たときは、私の部下であり、指導者として過ごしていた人。今は葉月の補佐。つまり幹部補佐をやっている人。
と言うか、柳瀬……?
「パパ、あの人が黒華幹部?」
「嗚呼、そうだよ」
「柳瀬君!? ………って事は」
響也の部下の柳瀬涼太は、元私の指導者で現白猫幹部補佐の柳瀬桜と結婚してるって事か!?
「え………えぇ!?」
「あ。あと、琴葉君。柳瀬君は、折笠君の部下じゃ無くて、私の補佐だからね?」
「え、あ……はいぃい
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ