60部分:第五話 部活でその九
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第五話 部活でその九
「つきぴーをいじめる奴を許さない」
「許さないの」
「そんな奴いたら徹底的にやるから」
目の光が強い。本気なのがそこからわかる。
「その時は」
「そんな、物騒な」
「けれど本気」
その言葉は変わらない。あくまでそれで言うのである。
「絶対にそうするから」
「そんなことはないから」
「だったらいいけれど」
「うん、じゃあ愛ちゃん」
月美は話が物騒になってきたことを察して話を変えた。咄嗟にである。
そしてそのうえでだ。自分がカレーを食べ終えてみせた。行動でも示したのだ。
「行こうね」
「うん、じゃあ」
こう話してだった。二人でパンを買ってそれも食べる。そしてそれが終わってからだ、それぞれ部活に向かい汗を流したり頭を使うのだった。
月美は袴になり道場にいた。白い上着に紅の袴が映えている。その手には木刀があり左手に持っている。そのうえで周りの視線を受けていた。
「おいおい、着物の上からでもわかるな」
「そうだよな」
「でかいよな」
「顔も奇麗だしな」
「髪もな」
黒のロングヘアである。その髪形も人気の元になっていた。
「いい感じだよな」
「一年であんな美人が入るなんてな」
「普通ないよな」
「ラッキーだよな」
「って俺達剣道部だろうが」
言っているのは剣道部の面々だった。月美のいる居合部とは同じ道場だからだ。それで見てそのうえであれこれと話しているのだった。
「同じ部活じゃないぞ」
「まあそうだけれどな」
「それでも同じ道場じゃないか」
「やっぱり運がいいよな」
「そうそう」
そんな話をしながら月美を見ている。しかしここで。
「おい、御前等」
「げっ、先生」
「来られたんですか」
「今来たばかりだ」
上下共濃紺の剣道着を着た白い角刈りの初老の男が怒った顔で立っていた。
「全く。稽古前の掃除はしたか?」
「え、ええ。一応は」
「しましたけれど」
「ならまずは走れ」
次はそれだというのだ。
「準備体操としてな」
「はい、わかりました」
「それじゃあ」
「まずは走ることだ」
その角刈りの先生は厳しい声で言う。
「一に走り二に走りだ」
「二年になってもですか?」
「三年になっても」
「俺の大嫌いな巨人のピッチャーに別所哲也という男がいた」
どうやらこの先生はアンチ巨人らしい。それが窺える言葉だった。
「そいつはとにかく走った。走って三百勝した」
「剣道じゃないですけれど」
「それでもですか?」
「そうだ、剣道でも同じだ」
かなり強引に同じだとするのだった。
「とにかく走れ、素振りや稽古はそれからだ」
「体力ですか?つまりは」
「そこからですか」
「そうだ。いいな、まずは走れ」
「やれやれ
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