STAGE2-2:アローラ、日差しが今日も強いね
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けて倒れたまま起き上がることができない。
テテフはぎりぎり戦える状態ではあるが、ヘッドバッドを直接受けた額の部分は赤くなり、目には涙が溜まっているのがクルルクにははっきり見て取れた。
「……テテフ、痛かったね。 ありがとう、後は休んでて」
「これで二対二……そういうことでいいんだな?」
「ヴァネッサもテテフもあれ以上ダメージを追わせたくないからね。もちろんいいよ」
「相変わらず、瀕死になるまで戦わせることをしないな。お前は」
ボールにテテフを戻したクルルクに、瀕死になったアバゴーラを戻しながらリュウヤは言う。リュウヤの知る限り、クルルクは自らの意志でぎりぎりまで戦わることをしない。よほど不測の事態にならない限り、そうなるまでにある程度ダメージを受けた段階でポケモンを戻している。たとえその結果敗北し、宝を逃すことになったとしてもだ。
「宝は欲しいけど、この子たちの命には代えられないしね……万が一のことを考えて、無茶はさせたくないんだ」
「それも『模犯怪盗』としてのプライドか」
「いいや、これは僕の個人的なバトルスタイルさ」
「そうか。臆病者──と言われたら、お前はどう思うんだ?」
返事は、スナップを利かせて投擲されたトランプだった。リュウヤは眉一つ動かさず、竹刀でトランプを受け止める。ポケモンの技を受けても粉砕されない強度を持つ竹刀に、ただの紙のはずのトランプは刃のように食い込んだ。
クルルクの表情は、図星を突かれて慌てるわけでもなければ、心にもないことを言われて憤慨するでもない。島キング・リュウヤの挑発を受けて、楽しそうに笑みを浮かべながらトランプを構えている。
「僕が臆病かどうか、試してみればいい。島キングもう一つの決闘スタイルで。このトランプで受けて立つ」
「なら、そうしよう。最後の一体……招来せよ、俺をこの世界に招きし者よ!」
リュウヤ左の籠手の中から右手を一枚の紙を引き、竹刀を地面に置く。それと同時、クルルクとリュウヤの頭上。天と地を遮るように、空間に渦のようなホールが出現した。
彼の呼び声によって空いた穴から降り立つのは、まるで折り紙をいくつも合わせて作ったがごとく薄い剣。しかしリュウヤの手元に納まったそれは、まるで古代の英雄が持つ神器のように淡い金の光を放ち、三十センチほどの短剣とは思えないほどの存在感を放っている。
クルルクもそれに合わせ六つのうちの一つからポケモンを呼び出し、自分で持っていた『黄金の竹の鉄扇』を投げ渡す。桃色の着物に身を包んだような華やかさを持ち、袖に隠れた腕で扇を開くその様はまるで丁半博打に命を懸ける博徒のような気迫が備わっている。
二人は、お互いのポケモンの名を呼び合う。ただ出すのではなく、今から行われるもう一つの決闘にふさわしい名乗りで。
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