STAGE2-2:アローラ、日差しが今日も強いね
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キングとしておまえを倒すことがやるべき仕事なんでな……その心遣いを台無しにするようで悪いが。ピジョット、『霧払い』だ」
「……ヴァネッサ、泡を爆発しないように切り替えて!」
ピジョットが引き起こすのは風の刃ではなく、穏やかだが大きな風の動き。それはアシレーヌの纏う泡を爆発させずに吹き飛ばしていく。観客に泡がぶつかる前に、アシレーヌの歌声でただの泡となってシャボン玉のごとく消えていく。『凍える風』による冷気も吹き飛ばして周囲にまた強い日差しの熱気が戻った。
「これじゃヴァネッサの守りが……!」
「これでお前の守りは消え去った。さらに『霧払い』が発動によりこちらの技の命中率は上がる」
『霧払い』には相手の回避率を下げる効果がある。鉄壁の守りを一瞬にして崩した島キングにギャラリーから拍手が起こった。
「いいぞ大将!」
「戦いってのは周りに気遣うんじゃなくて相手を真剣にぶっ倒すためにやるもんだ!」
「もっとやっちまえ!スカした怪盗にアーカラ島キングの強さを見せてやれ!」
「……決めろピジョット。『暴風』」
命中率は高くないが威力の高い『暴風』ピジョットがより大きく翼を羽ばたかせる。……が、変化はない。『霧払い』と同じく穏やかな風がゆっくりと吹くだけだ。
リュウヤの鋭い目が、怪訝に細まる。状態異常にするような技を受けたタイミングはなかった。ピジョットはまだ何のダメージも受けていないはずだ。
「どうした!もっとやれ!」
「MOTTOMOTTO!!」
「ピジョットがんばれー!!」
不自然なまでに集まる応援。クルルクがにやりと意地の悪い笑みを浮かべる。リュウヤはそこで気づいた。
「これは……『アンコール』か」
「その通り、だけどもう遅いよ!ヴァネッサ、『冷凍ビーム』!」
襲いくる蒼の光線。『霧払い』以外の技の使用を禁じられたピジョットは抵抗のすべなく氷漬けにされる。大人しくピジョットをボールに戻すリュウヤ。
「観客へのわざとらしい気遣いはこれのためか……」
「わざとらしいとは心外だね。熱中症とかになってほしくないのはほんとだよ」
つまり、こういうことだ。宙を自在に舞い、様々な風を操るピジョットに地上で歌うアシレーヌが『うたかたのアリア』や『冷凍ビーム』を直撃させるのはそううまくいかない。
だからクルルクは守りを固め、ピジョットの行動を誘導した。観客への気遣いを装う形で。
誘導されていることに気づかず守りをどかすための特殊な手を打ったタイミングに合わせて『アンコール』を発動することで、ピジョットの行動は大きく制限され、『冷凍ビーム』を直撃させることができたというわけだ。
優しさの裏にある確かな戦略。それを感じ取り、無表情なリュウヤの口角がわずかに上がりほかのだれに
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