4-1話
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に少しは心が和らぐ納得だった。
―――ァァァァ…。
「―――…」
「…なんだ、鳥か」
ふと、どこか遠くで鳥の鳴き声が聞こえた。
そしてその事にさして誰も気に留める事はなかった…彼女以外は。
「……さてと、アタシはそろそろ行くわ」
鳴き声のした方に目を向けていたと思うと、睦月さんは急にそんな事を言い出した。
「え、えぇ!?」
「もしかしたらもう会う事はないかもしれないけど、ここでお別れね」
腰に付いた草土を払い落とし、CAの分の非常食を残して、本当に身支度を始めた。
いきなりの別れ。 前触れのないその宣告を聞かされて、オレは動揺して慌てふためく。
「そ、そんな…ちょっと待ってくれよ! なんでそんな急に…!」
こう言ってはなんだけど…オレはこの人を頼りにしていた。
知り合ったのはついさっきだけど…一緒にいると心細さがないし、心強い味方として安心感があった。
女性に対してこんな風に思うのは情けないかもしれないけど…こうも一方的だと納得しきれなかった。
「ずいぶんと勝手だな」
すると真理谷はオレを代弁して辛辣に言う。
「ええ、そうね。 アタシは勝手よ」
「開き直りのつもりか?」
「“自分自身に正直であることはなんと困難なことだろう。 他人に正直である方がはるかにやさしい”―――エドワード F・ベンソン」
「む…―――」
「どう捉え、どう思うのは貴方の自由よ。 アタシはアタシの都合で個人で動くわ」
どうして…と疑問が浮かぶ。
だがその答えは予見していたのか、オレが口に出す前に睦月さんは先に返事を述べた。
「知る必要はない。 ここから先は貴方達自身の事を考えて生き延びないといけないのよ、他人と協力しながら行動するのなら尚更ね」
ぐっ、と言葉が詰まる。
睦月さんの行動自体は勝手だけど、彼女の語る“方針”は間違ってない。
またあの怪鳥…ディアトリマを前にしたら……自分はどうするべきか、それをちゃんと考えていなかった。
「睦月さんは……一緒に来てくれないのか?」
「一緒にいて、どうするの?」
「そ、それは……」
うまく言葉にできなかった。
一緒に人を探そうとか、力になってくれとか、そういった理由は思い浮かぶのに…それが彼女に求めているものかと言うと…どうもしっくりこない。
この人に…どうして欲しいのだろうか?
「…この場で、アタシを引き止められる言葉を持ち合わせていないのなら諦めなさい」
「……」
それじゃあね、と踵を返して彼女は後ろ姿を見せる。
もはや何も言えなかった…CAも真理谷も同じように、自由奔放な彼女を止める言葉が見つからない。
気安そうに見えて、我意が強く、独
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