4-1話
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泳がせた。
「…何探してるんだ?」
そう訪ねたが、それに答えない内に何か見つけたようだった。
ヒュイ、と何かの鳴き声に似た口笛を吹くと…森の中から何かが飛び出してきた。
“ソレ”は弧を描いて、ピタリと睦月さんの腕に留まった。
「プティロドゥス…」
ポツリと真理谷はそう呟いた。
それは…リスっぽい動物だった。
手脚が縞模様の毛並みをしていて、人の腕に二回ほど巻きつけそうな長い尻尾をさせた変わった動物だった。
真理谷が何も言わない所を見ると、どうやらこいつも絶滅動物だと見て間違いなさそうである。
だが、そんなやつがなぜ睦月さんの腕に招き寄せられたのか不思議だった。
「ひく……ひっく………?」
何事かと訝しんで、CAは顔を上げると……面白いほどビックリした。
きっと彼女の目に突然現れたかのように見えただろう。
睦月さんは調教師のように言葉もなく操って、芸を仕込まれたと思うような動作で、CAのすぐ傍に立ち留まった
それを見た瞬間、驚いたあまり亀のように頑として動かなかった体勢からひっくり返って尻餅を付いた。
「ひっ…あっ…ネ、ネズっ…!?」
オレから見ればリスっぽいけど、彼女からしたらその尻尾の長さからネズミを連想したっぽい。
既に泣いているけど、涙目になって怯えていると、リス……プティロドゥスの方が先に動いた
「ひゃっ……!!!」
強ばった身構えたその腕にプティロドゥスは飛びついた。
小柄ながらに俊敏な動きは一瞬だった。
「ぇ…ぁ……」
そこから先は可愛いものだった。
プティロドゥスは尾長ザルのようなその長い尻尾を腕に巻きつかせながら、その小さな手脚で袖を掴んでいた。
特に危害を加えるつもりはなく、クリクリッとつぶらな瞳が見詰めているだけのその様子は、決して恐れるようなものじゃない。
オレから見ても、その姿には愛嬌があった。
「(こ…この子…可愛い、かも…)」
CAもその可愛さに打たれて、意識がそっちに傾いた。
可愛さというのはこれほど威力があるものなのか、彼女も泣くのを止め、真っ赤に腫らした目はリスサイズの瞳と視線を交わし合っていた。
「これで少しは気を紛らわせないかしら?」
「あ……は、はい…」
そうなればずいぶんと大人しいもので、やっと初めて素直に返事を返した。
「…アニマルセラピーのつもりか?」
「アニマ…何?」
アニマルセラピー、動物と触れ合う事で心を開かせるという療法。
噛み砕いて言えば、カウンサラーや薬を使わず、精神的負担を和らげる一つの手段…と真理谷は言う。
効果は見ての通り。 たしかに犬や猫などでああやって触れ合う事ができれば、あんな風
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