4-1話
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「見つかってない、ねぇ…」
「飛行機が墜落したと思っている地点から半径四十八キロメートル…何度探しても小島らしきものは一切見当たらないんだ。 影も形すらない」
「実効支配下にない在日米軍基地ですら、その細かい内情はわからなくても陸地自体はちゃんと載るものなのにね」
「確かに、実効支配下にない島が存在して、載らない可能性はあるかもしれない。 だが、いるはずのない動物が存在していて、それが地図に載ってないというのは只事ではないぞ」
「おっしゃる通りね」
「で、でもよ…地図になくたってオレ達は実際ここにいるんだぜ。 森の中にいたんだから本当はもっと小さくて地図に載ってないってことは…!」
なんかどんどん悪く聞こえる方向に転がっていくような感じがして、オレは咄嗟に何の根拠もなく反論を割り込んでみた。
「ないわね」
だがそれは軽く一蹴された。
「森にいたから知らないだろうけど、ここは意外と広いわよ。 少なくとも地平線が見えるほどの土地を、小さいとは言わないわ」
「う…」
軽く凹んだ。
悪気は感じられないが、ハッキリと不正解を叩きつけるその物言いはストレートだった。
不愉快な性格でないけど…真っ直ぐな物言いと、何となくスパルタな先生、あるいは師匠のようなイメージを抱く。
「仙石…僕は非科学的な事は信じない人間だ。 だが……この島はおかしい」
どれだけ考えを巡らせても、結局は真理谷の言葉に帰結した。
「地図にない島に飛行機が落ちて、そこにあるのは絶滅したはずの動物…」
どれだけ非現実的でも、非常識でも、自分の目で見たものは間違いなく本物。
それは…どうしたって覆すことの出来ない。
どう足掻いても現実。 事実。 リアル。
「これは―――本当にただの墜落事故なのか?」
これが今……オレのいる明日/世界……!
「ひ…ひどい…」
絶望感に打ちひしがれる中、おののいたような声が震えた。
「ひどい……こんなの…こんなのあんまりですよおぉー!!」
ずっと泣きっ放しだった女性、CAは泣き喚き始めた。
少しは嗚咽《おえつ》が収まっていたと思ったら、オレ達の話を聞いていたようで、余計に心情を悪化させたみたいだ。
「私…今回が初フライトだったんだからあぁぁ!!」
「お…おい……」
「じゅ…十六回も採用試験を受けて…やっと、やっと……」
えっぐえっぐ…と亀のように蹲って泣くその姿はもはや大人も子供もない。
その姿に見かねて、睦月さんははよしよし、って宥めているが泣き止む様子がない。
こうなると、精神的にタフそうな彼女も参ったようで困った顔をさせた
「ふぅ…」
宥めるのは諦めたように溜め息を漏らすと、今度は周りに視線を
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