4-1話
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動に疑問を抱いた真理谷は問い掛ける。
「一体…何を言っているんだ?」
「……さあてね」
返した答えは実にあっさりしたものだった。
「ハッキリとした事なんてアタシにもわからないわ。 でも…この島はおかしいって事は確かよ。 とうに絶滅した動物が存在する…ありえない、とは言わなけど理の埒外だわ」
冷めた雰囲気を漂わせる蒼眼を伏せて、彼女は肩を竦《すく》めた。
わからない、と自分で言うが…拾う情報に戸惑うばかりのオレ達と違って、その蒼眼にはハッキリと何かを捉えている…。
誰よりもこの事態を冷静に捉え、悠然《ゆうぜん》としている。
「……おかしいのはそれだけじゃない」
「? どういう事だ、真理谷」
「ここは状況から見てここは島なのはまず間違いない。 だが、これを見ろ」
手馴れた操作で、図鑑の画面から別の画面へと変わった。
それは世界地図…というより、航路図だった。
「僕らが乗った飛行機の航路がこれだ」
それは世界地図のような画面に、グアムと書かれている島から日本列島を繋ぐ点線。
オレ達が昨日乗った旅客機があのまま飛び続けていたら…と思わずにはいられない道筋だ。
真理谷は指を動かすと、画面の中で矢印のポインタがグアムと、その近くにあるロタ島の中間辺りの点線を示した。
「ここが、最初にアナウンスの入った頃の位置」
だいたいの位置を示すその場所にオレは頷く。
「それから30分後―――機体が突如、落下を始めた………ちょうど、この辺りだ」
地図がズームアップされて映し出される…そしてその画面を見て、オレは背筋が凍った。
「―――!」
点線が拡大されて、そこに映るのは…一面真っ青な海の図だけだった。
陸と思われる色は一切ない、水だけの地表だけである。
「な、何もねぇっ!?」
それを意味するのは考えるまでもない不可思議で、ありえない事。
睦月さんの言を繰り返すように…ありえない、とは思いたくない…だが、これは埒外であると言いようがない事実。
「そうだ、仙石…無いんだよ―――地図のどこにも探してもこんな島はない……ここは―――存在しない島なんだ…!!」
存在しない…島。
ありえねー……ありえねぇよ…。
絶滅した動物に、地図に存在しない島……なら、ここは一体何処なんだ!?
「公式に存在しない島―――未開の秘境、かしらね?」
慌てもせず、まるで他人事のように睦月さんはそんな事を言い出した。
それに対し、真理谷はメガネのブジッジを押し上げて、視線を鋭く返して反論する。
「可能性は0……とは言えないが、現代に置いて陸地すら見つかっていないというのは考えにくい。 どちらにしても判断は出来ない」
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