4-1話
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パソコンかよ! こんなトコじゃあ、ネットが使えるわけがねぇーだろ!」
「………」
無視を決め込む態度に苛立ち、掴み掛ろうと手を伸ばす。
だが、その前に真理谷は口を開いた。
「ネットは繋がらなくても、ソフトの起動は出来る」
「…はぁ?」
だからなんだ?
真理谷の肩越しにノートパソコンを覗くと…オレは、そこに映っていたものに眼を奪われた。
忘れるはずがない。 忘れようがない。
その特徴的な姿は勿論の事、あれだけ強烈な体験を与えた存在をオレは忘れていなかった。
そこに映っていたのは……あのダチョウもどきのような飛ぶ事よりも走るためにある体躯《たいく》―――あの怪物のような鳥の写真だった。
これは…図鑑、か?
「それ、さっきの鳥か?! あんなの本当にいたのか」
「違うっ!」
突然、真理谷は声を張り上げ全力で否定した。
必死さ…いや、落ち着きさを失った声色に、オレは言葉が出なかった。
「違うんだ…こんなの…ありえない。 いるはずがない…いるはずがないんだ……生きて存在しているはずがない…」
「ど、どういう事だよ?」
真理谷は躊躇うように間を溜めた。
彼自身それを認めるのを拒むかのように…逡巡の後、ようやく口を開いた。
「この図鑑はただの動物図鑑なんかじゃ…ないんだ」
ただの?
オレはその言葉の意味を理解できないまま、真理谷は言葉を続けた。
「これは―――絶滅動物図鑑。 遥か太古に存在して“いた”動物だ…!」
―――…!?
真理谷の口から出てきたのは、突拍子もない事実だった。
希少動物ならわかる、だがそれにしたって“絶滅”という単語があまりにも結びつかない。
「そして…僕らを襲ったこの動物の名前は“ディアトリマ”。 これは確かに実在していたが……5000万年も前に滅びている」
「ぜつ、めつ…? 5000…万年って、お前…何言っちゃってんの? だって、ホラ……オレ達はさっきこの目で…」
口では何とか否定しようとするものの、こうして図鑑に書かれている事実を無視する事はできなかった。
この事実を覆す言葉が浮かばない…おそらく、真理谷もオレと同じ心境だったのだろう。
しかし…本当にそっくりだった。
本当にこんな生物が実在していたなんて…と、記憶を擦り合わせるように“ディアトリマ”の姿写しを見ていたら…。
「…歪《いびつ》ね」
後ろで突然、天信睦月がそんな事を言い出した。
「ずいぶんと、よく似てるけど…あぁ、だから歪《いびつ》なのね」
要領を得ない。
いつの間にかオレの後ろに立ってていた彼女の蒼い瞳は、まるで出来の悪い細工を見ているような雰囲気をしていた。
彼女の言
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