勇者の帰宅
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初は胸が嫉妬で張り裂けそうでした。
しかしメイドは必ず枕元でご主人様の営みを見なくてはなりません。
カオル、あなたは勇者様のお召し物を脱がさなくてはなりません。
勇者様が相手の女性の方のお召し物をお脱がせにならない場合はカオル、あなたが脱がせるのです。
勇者様の営みを見るのは最初は涙が止まらなくなる事だと思います。
私も初めて国王様の営みを見た時はそうでした。
しかしそのうちに涙も流れなくなる事でしょう。
大学で文化人類学を学んでいるヤツが同じサークルにいた。
「一夫多妻ってあるじゃん。
逆に多夫一妻ってあるの?」私は聞いた。
「ない事はないよ。
山岳民族で『多夫一妻』の民族があるんだ。
少女が放牧をしている山に住んでる兄弟に嫁ぐんだ。
兄弟は各々が色んなところで小屋を作って放牧をしているんだ。
少女は山を一人で登ったり降りたりしながら兄弟の相手をするんだ。
どちらかと言えば少女の人権が問題になる事はあっても、逆ハーレム的な要素は皆無だね。
山岳民族は今でもだけど、中世以前女性の人権はあってないようなモンだね」サークルの友人は言っていた。
異世界の女性の権利などは地球で言う中世以前のようなモノだ。
私は「勇者様の所有物」というように当たり前に思われているのだろう。
ただでさえ「王族であらずは人ではあらず」と思われているだろうに。
その証拠に私は性別を変えられメイドとして働かされ一言も謝罪の言葉をかけられていない。
それくらい庶民の地位は低く、女性の地位はもっと低い世界なのだ。
私に対する配慮は全く期待しない方が良い。
私が「元勇者様の配偶者」という事実はなかった事になっている。
あまりそれを主張しても「邪魔物は消せ」と暗殺されるのがオチだろう。
メイドの仕事がイヤな訳ではない。
むしろメイドの仕事は「天職かも知れない」と思っている。
「私は男に抱かれたいとは思いません。
ですが男女関係なく勇者様以外と夜の営みを行う気はございません」私は納得出来ずにロッテさんに言った。
「それで良いじゃないですか。
カオルは勇者様以外に抱かれる気はない。
勇者様は毎晩違う女性をお抱きになるのも大切なお役目の一つだ。
カオル、醜い嫉妬や独占欲は捨てなさい。
カオルが苦しくなるだけですよ?」ロッテさんはまるで「お前が間違っている」
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