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勇者のメイド
教育
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ここは王宮で友達と遊ぶ場ではありません。

『僕』など問題外です。

あなたは勇者様や国王様の前でも『僕』と言うのですか?」ロッテさんは言った。

ロッテさんはこの世界の常識を教えてくれている。

だがそれはこの世界だけの常識ではない。

以前主任に言われた。

「相手になめられたくなかったら先ずは『僕』と言うのをやめなさい。

社会人で自分の事を『私』と言う男の人は珍しくないわよ?

いきなりなめられないようにはなれないけど、なめられている原因を一つずつ消していく事は出来るわ」

女になったのと関係なく「『僕』と言うな、『私』と言え」と何回も言われて来た。

良い機会だ、一人称を『私』にしよう。

「はい、わかりました。

私はこの世界、女として、メイドとしての常識を全く知りません。

ロッテさん、これからも色々ご指導ご鞭撻のほどお願いします!」僕、いや私は深々と頭を下げた。

「じゃあまずはメイドとしての最も多い仕事、掃除と洗濯ね」ロッテは笑いながら言った。






常識的にあり得ない。

「何だ、こんなモンか」と思われないように、キツい絶対にこなせない仕事を与えたつもりだ。

「掃除ならびに洗濯、言われた分終わりました。

次の仕事の指示、よろしくお願いします!」カオルは涼しい顔でロッテに指示を仰いだ。

「そ、そうね。

じゃあもう一階下の掃除と洗濯を任せてもいいかしら?」ロッテは指示を出したが、二階の掃除と洗濯を一人でやらせるなどというのは本来イジメで、出来る訳がない行為だ。

「かしこまりました」カオルはなに食わぬ顔をして作業にとりかかった。

「楽しい」そうカオルは感じていた。

仕事を楽しいと感じる事はカオルにとって初めてだった。

カオルの元々の趣味は家事全般だった。

カオルは「もしかしたらメイドって天職かも」と思っていた。

しかしこの恰好だけは違和感がある。

まあメイド喫茶のメイドと違ってミニスカートではないし、露出度は低い。

スカートにはまだ慣れないけれど、この恰好には慣れるしかない。

しかしわからない事もある。

「ロッテさん、一つ質問があります」私は言った。

「疑問を疑問のまま置いておいてはいけません。

ましてやカオルは勇者様付きのメイド・・・勇者様付きのメイドの無知は時に勇者様に不快感を与え
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