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緑の楽園
第一章
第5話 町長の提案
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つまり、自力で生活し、稼ぐということがどうしても必要となる。
 できるだけ早く、この町で生活の基盤を作らなければならない。
 もうこうなると自分だけで考えていてもわからない。

 そこで、女医の「町長へ相談すればいかが?」という勧めに従うことにしたのだ。
 診療所経由で町長に話を通してもらい、アポを取ってもらった。

「ありがとうございました」

 俺はもう一度女医にお礼を言ってから町役場に向かった。



***



 町役場は町の中心に近いところにあった。

 町の家はほとんどが木組みの家のようだったが、役場は煉瓦造りになっていた。
 二階建ての建物だが、天井が少し高い設計になっているようで、入り口の前で見上げるとかなりの偉容である。
 まるでこの国のハードルの高さを見せつけられているようで、不安を掻き立てられた。

「クロ、お前も一緒に入ってもらうけどいいな」
「ああ。構わない」

 不安を紛らわす意味も半分くらい込めて、クロに声をかけた。
 既に町長にもクロの噂が耳に入っており、「今日は執務室まで連れてきてほしい」という旨を事前に診療所経由で言われている。

 建物の中は広かった。
 一階は壁で仕切られておらずぶち抜きになっており、定間隔に柱だけが立っている。

 正面にはカウンター、手前は待合所になっているようだ。
 早い時間にもかかわらず、町の人が既に何人も座っていた。

 俺はこの国ではあり得ない服装をしているし、白い犬まで連れているのでどうしても目立つ。
 なるべく待合所の人たちを見ないよう、まっすぐカウンターに向かった。

「あの。これから町長にお会いする予定のオオモリ・リクですが」
「はい。お聞きしています。ようこそいらっしゃいました。町長の部屋は二階にありますので、そちらの階段を上ってください」

 受付の中年女性は一見平静を装っているが、視線の先は俺の服やクロをうろちょろだ。
 まあ仕方ないだろう。



 執務室の扉は閉まっていた。

 ――ええっと。約束有りとはいえいきなり開けるのはダメだよな?
 まずはノックだ。

 ……あれ、この国ってノックは何回なんだろう?
 しまった。確認してから来るべきだったか。

 まあいいか、二回やればいいかな。
 ああ、その前に。万一お取込み中だとマズイから、扉に耳を付けて確認っと……。

「兄ちゃん何やってるの?」

 心臓が止まるかと思った。
 振り向けば金髪の少年だ。クロは気づいていたはずだが、もうこの少年に慣れてしまったので反応しなかったようだ。

「び、びっくりした……。お、驚かせるな」
「あはは。泥棒みたいで面白かった」
「泥棒じゃねえよ。お前こそ何でここに
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