巻ノ百五十一 決していく戦その九
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「そのことをこれから見せよう」
「そうか、ではな」
「これよりじゃな」
「その言葉がまことかどうか見せてもらう」
こう根津に言うのだった。
「今よりな」
「わかった、ではな」
「これよりじゃな」
「わしは秘術を出す」
「無論わしも」
「それで決着をつけるか」
「わしの秘術は伊賀の剣術の極み」
双刀は根津にこのことを話した。
「わしだけが使える無双のものよ」
「それを使ったことはあったか」
「敵に対してはない、それを出す前にじゃ」
その秘術をというのだ。
「倒してきた」
「だからか」
「その秘術を使ったことはない」
「ではわしが最初か」
「そして最後となる」
双刀は凄みのある顔で根津に話した。
「お主を倒してそれからはな」
「二度とか」
「使わぬことになろう」
「そうか、しかしな」
「その秘術にか」
「わしは挑みそしてじゃ」
根津もまた双刀を見据えつつ言うのだった。
「勝つ」
「その言葉偽りでないな」
「真田の者はそうした術は知らぬ」
虚言を弄する、そうした術はというのだ。
「一切な」
「そうか、ではじゃな」
「その秘術を見せよう」
「では来るのじゃ」
双刀も受けて立って返した。
「その秘術でな」
「そうさせてもらおう」
「これよりな」
二人共一旦間合いを離した、そうしてだった。
互いに構えに入った、そのうえで。
双刀は両手の剣からそれぞれ無数の気の刃を出した、その一つ一つが二階建ての家位の大きさがあった。
その刃を遮二無二に出して根津を襲う、そして。
根津はというと。一瞬だった。
刀を抜いた、その一瞬で。
双刀の気を全て断ち切りさらにだった。
気の刃を放つ双刀のその二振りの刀も弾き飛ばした、双刀自身は無事であったがそれでもであった。
双刀は唸ってだ、こう言った。
「まさにな」
「今のでだな」
「決まった」
根津に確かな声で告げた。
「完全にな」
「わしの勝ちだな」
「如何にも。かろうじて防いだが」
根津のその一撃をだ。
「わしの気は全て断ち切られ消されてな」
「お主の刀もな」
「弾かれた」
根津の放った気の刃を防いだがだ。
「それではな」
「わしの勝ちだな」
「そうだ、わしの負けだ」
「ではだな」
「首を取れ」
自分の首をとだ、双刀は根津にこうも告げた。
「今からな」
「戦に勝てば褒美の証として首は取るが」
根津はその双刀に話した。
「今はそうした戦ではなかろう」
「だからか」
「勝ったらそれでよい」
「それで充分か。しかし若しわしが再び刀を取りだ」
その手にというのだ。
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