巻ノ百五十一 決していく戦その七
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「お主の音もな」
「そういうことね」
「水は強い」
海野はこうも言った。
「如何に全てを壊す音もな」
「潰すというのね」
「今の通りな、そしてな」
「ええ、認めるわ」
音精は海野の潔いい声で返した。
「私も負けよ」
「そうじゃな、ではな」
「私の首を取るのかしら」
「勝った、それでいい」
海野は毅然として音精に言った。
「わしはな」
「私を討たないのね」
「勝った、それは手柄にならぬ」
だからだというのだ。
「わしがどうかよ」
「だからいいの」
「左様、ではわしは殿をお迎えに行く」
「わかったわ、ではね」
「これでな」
「達者でね」
音精は微笑みそうしてだった、幸村のところに向かう海野を見送った。海野は彼女の方を見ずに幸村の方に向かった。
望月は剛力と正面からぶつかり合っている、そうして激しい一騎打ちを続けているがその一騎打ちの中でだ。
剛力は強い声でだ、望月に言った。
「わしは伊賀随一の力を持っている」
「身体の力はな」
「その力は負けていない」
まさにというのだ。
「その力はな」
「それで自信もあるな」
「そうだったはな」
「そうだったか、か」
「お主と今ぶつかって思っておる」
今現在とだ、剛力は望月と激しいぶつかり合いの中で相手である望月を見てそのうえで言ったのだ。
「伊賀随一、それは天下一と思っていたが」
「それがか」
「お主とぶつかってな」
そうしてというのだ。
「わしかお主かとな」
「思っておるか」
「うむ」
その通りというのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「ここでそれをはっきりさせるか」
こう望月に言った。
「そうするか」
「わかった、ではな」
望月も応えた、そしてだった。
剛力は望月にだ、強い声であらためて言った。
「秘術を持っておるな」
「お主もじゃな」
「無論、わしは力で戦う者だがな」
「忍じゃな」
「十二神将の一人」
伊賀の上忍の一人だというのだ。
「そしてそれだけにな」
「秘術もあるな」
「それは今まで誰にも見せたことはないが」
それでもというのだ。
「わしはここで出そう」
「そうか、ではな」
「お主もじゃな」
「出す」
望月は剛力に毅然として返した。
「そしてな」
「今からだな」
「どちらが天下一の力の持ち主かな」
「今からはっきりさせるとしよう」
「お互いに秘術を出してな」
二人は言い合いそしてだった。
剛力は己の身体を金剛石に変えた、そうしてこの上ない速さと重さを自身の力に入れてそうしてだった。
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