53部分:第五話 部活でその二
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第五話 部活でその二
「やっぱり走るんだよな」
「朝は何処でもそうみたいですね」
「朝はランニングか」
「ええ、そうですね」
月美は本を持ったままそのうえで陽太郎に顔を向けている。見上げた形で話をしているのである。陽太郎はその顔を見下ろす形になっている。
「他には筋力トレーニングも」
「ジャージか、学校の」
陽太郎は着る服についても述べた。
「それ着てか。まだ体育の授業もまだなのにな」
「そうですね。私もジャージ持って来てくれって言われました」
「先輩に?部活の」
「はい、言われました」
そちらから言われたというのだ。
「それで、です」
「そうだよな。何かうちの剣道部って真面目みたいだな」
「居合部も」
「まあ真面目にしないと危ないからな、剣道も」
陽太郎の剣道への考えである。
「竹刀使うし」
「居合も。やっぱり」
「流石に練習では真剣使わないよな」
陽太郎は少し真剣な顔でそれを問うた。
「それは」
「はい、木刀です」
それを使うというのだ。
「それで練習というか稽古します」
「そうだよな。居合も凄いよな」
「いいですよ。精神が研ぎ澄まされる気持ちになれて」
月美はにこりと笑って話すのだった。
「弓道もそうですけれど」
「そういえば西堀って」
陽太郎はここであることを思い出した。それは月美は居合だけではなく弓道もしているのである。そのことを話すのである。
「あれだよな、結構色々やってるんだよな」
「色々ですか?」
「ああ、色々な」
していると話すのだった。
「してるんだな」
「昔から習いごとはよくしてました」
「それで塾も。あの椎名と一緒の塾に」
「愛ちゃんはあの時からいい娘で」
月美は椎名のことを話すと自然に笑顔になる。それは明らかに親友に対する顔であった。そしてここで自分からあることを話してきた。
「この本も」
「あっ、その本って」
月美が持っているその本を見るとだった。それは太宰治のものだった。『富岳百景』、この作家の中期の代表作であり固定の愛読者も多い作品だ。
「太宰治なんだ」
「愛ちゃんがいいって薦めてくれて」
「あいつが太宰かあ」
「意外ですか?」
「変な本ばかり読んでる気がするんだよな」
これは彼の予想である。多分に偏見も入っている。
「魔道書とか。何かそういうのとか」
「うふふ、愛ちゃんはそういう人じゃないですよ」
月美は楽しそうに笑ってそれは否定した。
「ただ。結構お茶目で」
「お茶目か。何か別の言葉が似合いそうなんだけれどな」
悪意とかそういう言葉が思い浮かぶ。やはり陽太郎の椎名への感情は今はおかしなものを見るようなそうしたものであった。
「本当にな」
「少しずつわかってきます。私愛ちゃ
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