逆さ磔の悪魔
ラスト・ターン
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
『リバースド・ナイン、反応消失!』
『みのぶ』の艦内、CICはわずかに色めき立った。
ネームレベルは確かに、目の前で撃破されたのだ。
「天龍達が仕留めたようですわ。で、次の手はいかがなさいますの?」
熊野は、半信半疑だった。
いや、疑ってなどいない。
天龍達が仕留めたのは、間違いないだろう。
そして、壬生森がこのタイミングで最大限の警戒を命じたのも、何かしら考えているのだろう。
「不死鳥が煉獄から舞い戻るその瞬間を、必ず捉えろ。」
壬生森の言うことも、わからないわけではないのだ。
ただ、彼が本当に何を考えているのか、彼が何を確信しているのか。
何に対して備えて、この結末に何を見るのか。
熊野は、そこから先がわからないのだ。
「洋上、海中、対空!全ての感覚を研ぎ澄ませ。竈の巫女の悪戯を見逃すな。」
彼は、この先に何が起きると思っているのか?
そして、その時に彼はどうするつもりなのか?
熊野は、タブレットに集積されたリバースド・ナインの情報を改めて見直し始める。
恐らくだが、正体への推察は熊野も彼と同じ結論に至っている。
CV−6エンタープライズ。
我々が戦っている、我々の時代に確かにあった、帝国海軍にとって最悪の、この群青にて最も新しき伝説。
それだけは確信を持っている。
9度の死をもってしても絶つことの出来なかった、灰色の亡霊。
それが今、私達の前に立ちはだかっているのだ。
「ブルネイに電文を。内容は『帰投せよ』だ。」
「了解!」
ブルネイを、ここで帰す?
その通信に私は困惑した。
今、まさにこれからが本番と言わんばかりの空気を出しておきながら?
いや、これは……的を減らすつもりか。
「艦長、ブルネイを護れ。彼等の上には一発たりとも落とすな。」
「はっ。各部エア、popsをGUに指定!」
『各部エア、popsをGUに指定!』
壬生森はディスプレイに映るレーダーの反応に注視する。
レーダーのノイズが消え、オンステージしている味方の全ての位置関係が見えるようになった今、彼はそこに映るはずがない幽霊を見つけ出そうとしている。
まだ、この戦いは、終わってなどいない。
彼の確証が現実になるのは、私が思うよりずっと近くの未来だった。
『darling!ネームレベルの撃破を確認したヨ!仕留めたのは蒼征の天龍!』
「こっちでもノイズが消えたのを確認した。蒼征から帰投しろ、っつー電文も来たし戻ってこい。」
『……darling、それは妙ネ。』
金剛が素直に頷くとは思ってなかった金城は、どかりと椅子に座って、水上レーダーの画面を見る。
そう、金剛の言うように、妙なのだ。
「金剛、お前もそう思うか
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ