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彼願白書
逆さ磔の悪魔
ラスト・ターン
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?」

『Yes。MissionCompleteと言うのなら、彼等は何故、転舵しないネ?』

そう、一番の妙はここだ。
彼等はまだ、帰り支度をしていない。
こちらを防空射程圏内に収めた状態から、動く様子がない。

『それに彼等も帰るつもりなら、こちらに寄港する旨を連絡してくるハズネ。聞く限りデスガ、彼はそういうところを怠るような者ではないと思いマス。』

「そこだ。こいつらの違和感は!」

金城は抱いた違和感の正体に気づいた。
なぜ、無線通信ではなく電文を選んだのか。
こちらに帰れと言いながら自分達は何故動かないのか。
全ての辻褄が合った。
だがしかし、敢えてそうした原因はなんだ?
そこまで考えて、金城は金剛に改めて指示を出した。

「金剛、今すぐに総員こちらに集結しろ。対空警戒は怠るな。」

『待ってクダサイ!まだこの戦いは終わってないネ』

「そうだ。終わってない。だから、集結しろ。急げ!」

細かい説明をしていられる状況ではない。
コトは一刻を争う事態だ。
あの性悪狐、やっぱりろくなことを考えねぇ!
金城が無線のハンディを手に取り、チャンネルを合わせてスイッチを入れようとした瞬間だった。
レーダー画面にホワイトノイズが走る。
窓の外を見た金城の目には、黒く染まる空。
その空の方角、その洋上には、『みのぶ』がいる。





『SPIレーダーにノイズ!』

『ブリッジよりCIC!艦直上に深海機影多数!あまりの数に空が黒い!』

「対空戦闘、CIC指示の目標!攻撃始め!同時に回避行動!」

レーダー画面が敵影に埋め尽くされ、それぞれにトラックナンバーを割り振るも、捕捉可能限界を遙かに上回る数の敵に、途中から割り振りが止まる。

「……128機以上か。」

「狙いはこちらでしたなぁ。」

「躱しきれるかね?」

「最善を尽くしております。後は野となれ山となれ、でしょう?」

艦長の言葉に、壬生森は少しぎょっとしたかと思うと、短く笑う。
かつて、壬生森も同じことを言った覚えがあるからだ。

「なら、人事を尽くして天命を待つの言葉通りに、やれることはやっておかねばな。」

『ミサイルドーマント、至近の12機に照準!』

『シースパロー、12サルボーズ!』

艦内伝令の騒がしい中、壬生森はインカムに手を添える。
送り先は、誰だ?

「私だ。データリンクを繋ぐ……征け。」




「なんだ?あの光は!」

「わかりません!正確な距離は不明ですが、発生位置は『みのぶ』の予想針路上に近い位置です!」

漆黒の空の下、青藍の海の上、その狭間に鋭く眩い光芒。
一際大きく輝き、眩んだ目が戻ったあと、明らかに何かが変わっただろうこ
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