522部分:最終話 空に星が輝く様にその十
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最終話 空に星が輝く様にその十
「ずっと一緒にいたいって思ってるのよ」
「本当に仲いいんだね」
「ええ。それにしても」
ここでだ。星華はふと上を見上げた。そこには澄み渡った、琥珀の夜空があった。そこには今日も無数の星達が瞬いていた。
その星達を見ながらだ。星華は彼に言った。
「今日もね」
「今日も?」
「お星様が奇麗ね」
こう彼に言うのだった。
「とてもね」
「あっ、そうだね」
彼は星華に言われて気付いた。その夜空のことを。
「確かに。雲一つなくて」
「私お星様好きなの」
星華はその夜空を見上げながらまた天道に話した。
「こうしてね。見ることがね」
「そうなんだ」
「そうなの。こうして見ているだけで幸せになれるから」
また話す。星達を見るその目もまただ。星の瞬きを見せていた。
そしてその瞬きをだ。天道に向けた。そのうえでの言葉だった。
「ねえ。よかったらね」
「一緒にだね」
「ええ。一緒に見ない?」
こう彼に言うのだった。
「お星様ね」
「うん、僕でよかったら」
天道もだ。優しい笑みで星華の言葉に答えた。
「一緒にね」
「こうしてお星様を一緒に見るとね」
「幸せになれるんだね」
「そうなの。それ、友達に教えてもらったの」
他ならぬ椎名だ。ここでも彼女のことを思い浮かべるのだった。
「そのことをね」
「そうだったんだ」
「じゃあ。一緒に見よう」
星華はまた彼に言った。
「今夜はね」
「今夜だけ?」
しかしだった。彼はここで星華にこう言ってきた。
「それって今夜だけかな」
「えっ、それってどういうこと?」
「だから。今夜だけじゃなくてさ」
彼からだった。星華に話すのだった。
「これからもだよね」
「これからも」
「ええ。一緒にいよう」
こう話すのだった。
「そうしよう」
「そう。それだったら」
「うん、今夜だけじゃなくてね」
「これからもね」
「二人でね」
話していく。そうしてだった。
星華はだ。夜空を見上げながらだ。前に踏み出した。天道も同じだ。
そしてその夜空の星の一つを見てだ。今度はこんなことを言った。
「ずっと。ずっとね」
「うん、ずっとね」
「私一緒に見たいから」
まただ。天道に話すのだった。
「お星様ね。幸せをね」
「見たいんだね」
「ええ、一緒にね」
「見ようね。じゃあ」
「沢山ある幸せ。皆が持っている幸せ」
星華の心はその夜空の中にあった。彼と共に。
「そのうちの一つをね」
「二人で。一緒に」
「ずっと見ていこうね」
これまでの多くのことも思い出しながら。星華は今その星を天道と共に見ていた。二人のこれからのことを思いながら。そのうえで見ているのだった。
空の星
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