521部分:最終話 空に星が輝く様にその九
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最終話 空に星が輝く様にその九
一呼吸置いてだ。天道に顔を向けて言った。
「あのね」
「あのねって?」
「正直に言うけれどね」
「うん。何を?」
「私、あいつのこと好きだったのよ」
このことをだ。話したのだった。
「ずっとね。好きだったのよ」
「そうだったんだ」
「そうなの。けれど今はね」
「何ともないんだ」
「終わったから」
それでだというのだ。いいというのであった。
「もうね」
「終わったんだね」
「そうよ、終わったの」
陽太郎への恋はだ。そうだというのだ。
「だからいいの」
「そうなんだ。いいんだ」
「今は」
天道の顔を見続けていた。そうしての言葉だった。
「天道君がいるから」
「僕が」
「ええ。二人で行こう」
「電車にね」
「そうしよう」
こう話してだった。二人でだった。
星華はその電車に乗った。そしてそれからもだった。
二人で遊園地を巡った。そこを出た時には夜になっていた。
その夜の中でだ。二人はまた話していた。
「今日は楽しかったね」
「そうね」
今日のことを振り返っての話だった。
「気付いたらこんな時間になってね」
「お家の方大丈夫?」
天道は星華を気遣って言ってきた。
「遅くなったけれど」
「うん、大丈夫よ」
星華は微笑んでそれはいいと答えた。
「もう親には話してあるから」
「今日のこと?」
「ええ。それと」
「それと?」
「天道君のこともね。彼氏がいるっていうのはね」
「もうお話してるんだ」
「そうなの」
こう彼に話すのだった。
「そうしてるの。御免なさいね、先に話したわ」
「いいよ、それはね」
天道はにこりと笑ってだ。それはいいというのだった。
「けれどご両親はそれでいいっていうんだね」
「ええ、いいってね」
「そう。だったらいいよ」
「それどころかお父さんもお母さんも喜んでくれてね」
にこにことしてだ。星華は天道にこのことを話していく。
「それで私にもやっと彼氏ができたってね」
「喜んでくれてるんだ」
「ええ、そうなの」
こう話すのだった。
「特に妹がね」
「ああ、そういえば妹さんいたんだっけ」
既にこのことは少し聞いていてだ。彼も知っているのである。
「そうだったよね」
「そうなの。それでね」
「それで?」
「今日もね。楽しんでこいってね」
「妹さんが言ってくれたんだ」
「そうなの。いい妹よ」
星子のことをだ。こう話すのだった。
「来年うちの学校に行くんだって今から勉強してるし」
「ああ、受験生なんだ」
「頭いいしね。絶対に受かるわよ」
成績優秀な妹のことをだ。明るく、そして少しばかり誇らしげなものを入れて天道に話した。そうしてその話をさらに続け
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