第一章
第3話 見知らぬ町
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、ということになるのかな? いろいろ面倒を見てもらっていたようでありがとうございます。こいつはうちのペットです。霊獣様じゃないですよ」
「どう見てもペットには見えませんが……」
いや、どう見てもペットです。
「とりあえず連れて帰ります。あまりお世話になるのも悪いので」
「それならばこれをお持ち帰りください。お供え物です」
示された先を見ると、干し肉や野菜がてんこ盛りになっている皿が置いてあった。
お供え物。なんだか自分が町の人を騙しているような感覚になり、少し怖くなった。
今後も貰い続けてしまうと申し訳なさすぎる。
誤解されているようだが、霊獣様とやらでないことは今後きちんと説明していったほうがよいだろう。
***
「よっと」
「わっ! だから骨は折れてないんだし、自分でやれるって!」
「いいのいいの」
病室に戻った俺は、カイルにお姫さま抱っこされてベッドに移された。
「お前、力あるよな……」
手がプルプルしている感じがなかったし、持ち上げるときも実にスムーズだった。
下半身がうまく使えているのだろう。介護の仕事の才能がありそうだ。
「そう? 兄ちゃんこそ、結構いい体してるし力は強いんじゃないの?」
「多分お前の方が強いぞ……って、胸を触るなコラ」
「へへへ。いいじゃん、減るもんじゃないし」
時計がないので確認できないが、日が傾くまではまだ少し時間がありそうだ。
落ち着いたことだし、カイルをあんまり引き留めておくのも悪い。
お礼を言って帰ってもらって、それから今後のことを考えよう。
……と思ったのだが。
これがなかなか帰らない。
着ていた服は畳んでここに置いてあるとか、日用品で何か必要なものがあれば持ってくるからとか、病室の中のコレはああで……など、いろいろ世話をしてきた。
さらには医者でもないのに、こちらのことを根掘り葉掘り聞いてくる。しまいには食べ物の好き嫌いまで聞かれた。
正直少しめんどくさくなった。
疲れてきたので丁重に追い出すことにした。
「お前、いつまでもここにいて大丈夫なのか? 俺ならもう外出はしないし、介助は要らないぞ」
「ん? オレなら大丈……あ、そろそろ時間がアレかな? じゃあいったん出ていくね! また後で来るから!」
「助かったよ。ありがとう」
「へへへ」
人懐っこい笑みを浮かべながら、彼は出て行った。
いったんというのが引っ掛かる。また来る気か。
まあ……若干うざいが、もちろん嫌いなタイプではない。
街見学の時に年齢を聞いたら、十三歳と言っていた。かわいい子供だ。
さて……。
俺の視線は、病室の入口の横、無言でペタンと座
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