第一章
第2話 金髪の少年
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がある。
壁も壁紙が貼られておらず、板張りのまま。
病室らしい備品もほとんどない。バンガロー風の部屋にそれらしいベッドを置いただけ、という印象を受ける。
……外はどうなっているのだろうか?
確認してみたい――そう言ってみたら、
「いいけど。怪我人だから介助があったほうがいいわ。ちょっと待っててね」
と言われた。
女医は退室。現在待ち状態だ。
窓を見る。カーテンは開いていた。
ここからでは木が見えるだけで、街の景色などを窺い知ることはできないが、外は明るいようだった。
半日以上眠っていたということだから、今は崖落ちの次の日の午後くらいか。
俺とクロが行方不明なので、家族は心配しているだろう。
そうだ……クロと言えば。
女医は、クロとは後で会えると言っていた。
今回ほぼ俺のせいでクロも散々だ。野犬襲撃のせいで未遂に終わってしまったが、今度こそきちんと謝ろう。
と、心の中で決意表明をしていたら。
バタン。
急にドアが開いた。
「おー。兄ちゃん目が覚めたんだ。よかったね!」
そう言いながら入ってきたのは、金髪ショートの少年だった。
歳はかなり若い……というよりも、子供だ。見た感じは小学生か中学生くらいだろう。
そして、手に何か黒い布を持っている。
「これ兄ちゃんが着けてた下着だけどさ。ツルツルだし、ゴムじゃないところも伸びるし面白いな! こんなの初めて見た」
「あ! それ俺のボクサーパンツじゃないか。あれ? そういえば俺、全然違う格好に……? 俺の服は一体どこに」
「全部脱がしたよ!」
「な、何ぃ?」
「だって汚れてたし汗でベチョベチョだったし。そのままベッドに寝かせるのはマズイでしょ」
それはその通りだ。
あの女医さんがやるわけにはいかないということで、この金髪少年に任せたのか。
「これはボクサーパンツって言うの? 面白いなぁ。貰ってもいい?」
「ダメに決まっているだろ。だいたい俺が着けてたんだから汚いぞ」
「洗ったから大丈夫!」
……な、何だこいつは。
「ちょっとカイルくん。ダメよ怪我人を困らせたら」
女医が戻ってきた。どうやら、この金髪少年はカイルという名らしい。
日本人の名前ではない。外国人だろうか?
「車椅子の準備が出来たわ。じゃあカイルくん、あとはよろしくね。あまり遅くならないうちに帰ってきて頂戴ね」
そして女医は俺のほうを向く。
「倒れていたあなたを背負って運んできてくれたのは、この子よ。見た目よりもずっとしっかりしているから安心するといいわ」
「え! そうだったのか?」
「そうだよ! たまたま用事の帰りで森を歩いてたら、まっ白な犬がやって来
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