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フルメタル・パニック!On your mark
第二話 不吉な気配と隠された謎
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 もう、このまま眠りに就きたい。何も考えず眠りたい。心地よい睡眠の世界に逃げ出したい。
 先程まで俺の身体を駆け巡っていたやる気は何処かに消え失せた。
 もう、無理だ。なんで俺ばっかりこんな酷い目に合わなきゃいけないんだ…?
 俺は…ただ、ASを造りたい。造りたいだけなんだ。なのに、なんで神様はいつも邪魔ばかりするんだよ。俺が何が悪い事でもしたか?
「…パパ、」
 ごめん、L。
 心配してくれてるのは分かる。でも、今の俺にそんな慰めは要らないんだ。
 惨めな俺。こんな所で死ぬのか…?
 あぁ…不幸な人生だったなぁ。生まれ変わりとかあるなら今度こそ恵まれた人生を送りたいなぁ。

「馬鹿じゃないですか?」

 それは冷めた言葉だった。
「え?」
 この電子音はLのだ。さっきのはLの発した言葉だ。
「今時、そんな呪われた機体?とか呪われたビデオとか流行りませんよ。そんなの迷信です。ていうか私、幽霊とか呪いとか信じたい質ですから」
「え、L…さん?」
「大体、パパもパパです。自分が世界で一番不幸そうな顔してますけどパパなんてぺえぺえのぺえです。そんなの不幸でも何でも有りません。ただの思い込みです。
 不幸とか幸せとかそんなの人の気の持ちようですよ。
 その人が幸せと感じたら幸せで不幸と感じたら不幸。でも、パパの場合は自分が不幸な人間だと決め付けているだけ論外です。まずはそこから立ち上がり正座して下さい」
「…??」
「いいからさっさと正座して下さい!」
「は、はいぃ~」
 あれ。俺って、なんで怒られてるの?
「今一度よく考えて下さい。これって千載一遇のチャンスですよ?」
「チャンス?」
「そうです。だって、呪われていると曰く付きの機体を引き取ってデータ収集するだけで莫大な研究費と開発費が手に入るんですよ?
 簡単な話じゃないですか!」
「いや、そうは言うが…関わった人間全員死んでるんだぞ?」
「それはきっと偶然ですよ」
 おい。このAI、呪われた機体で死んだ人達の死を偶然とか言い出しましたよ。
「偶然な訳あるか!?」
「偶然ですよ。それか必然です」
「無茶苦茶なこと言うな!
 必然ってなんだよ。まるで、そこで死ぬ事が決められたみたいじゃないか…」
 俺は、まだ死にたくない。死にたくないんだ。
「お前はAIだから、そういうのは疎いかも知れないが、そういうののはガチであるからな。人の呪いとか怨念とか幽霊とか…」
「科学者が呪いとか怨念とか幽霊とか非科学的な事を言うのって変じゃないですか?」
「有るものはある。この世の中にはな、解明できないものとか解明しちゃいけないものとかもあるんだよ!」
「それが、私の半身ですか?」
「そうだよ。お前の半身────?」
 そう言えば、Lは言っていた。
 
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