第二話 不吉な気配と隠された謎
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い回しにされてきてとうとうウチに回ってきた…という経緯が有りまして可能であれば蟹瀬主任の方でこの機体のデータ収集をお願いしたいと要望が来ております」
「誰から?」
「匿名です」
???…???
「匿名…って、どういう意味だ?
その機体は国外のものなのだろう?
なら、その国の管轄下に置かれてるんじゃないのか?」
「普通ならそうなのですが、この機体に限っては例外でメキシコ大統領も一刻も早く、メキシコから撤去して欲しいとの事で…」
「ならそっちで処分すればいいじゃないか。わざわざ日本…ウチで引き取る理由はなんだ?」
撤去して欲しいが処分したくはない。
全く持って意味が分からない。
「私も詳しい事情は知りませんので、その質問には応えかねますが…そちらの写真に映し出されたアーム・スレイブには妙な噂が有りまして、」
「噂?」
「はい。なんでも、現代の科学力では到底不可能なシステムが組み込まれているとか何とか…そして、そのアーム・スレイブに関わった者達は全員、死亡しておりまして────」
「は?」
それって…つまり呪われた機体って事?
「な、な。なんで、そんな物騒な物を日本に────いやいや、ウチに引き渡そうとしてくるんだよ!?」
まさか…もしかして。
「もしかして、もしかしてだけど…今回の案件って、コイツをウチで回収する代わりの取引とかじゃないよな?」
男は黙り込み、少し間を開けた後に溜息をつき。
「その通りです。今回、蟹瀬主任に与えられた任務の真の目的は、この謎のアーム・スレイブのデータ収集です。はっきり言いますと今年に行われる国際博覧会は、それまでに蟹瀬主任が健在ならの話でして…」
嫌な予感は的中。やはり、俺は神様に嫌われているらしい。
「巫山戯るな!
なんだよそれ!!」
怒声を荒げ、俺は男の襟元を掴んだ。
「私からは以上です。その手を離して貰えますか?」
男は如何にも冷静で面倒くさそうな態度だった。
「この命令を出したのは誰だ?
まさか…マオ社長────?」
「いえ、D.O.M.S社とは何の関係も有りません。強いて言うなら国の上層部ですかね」
男は、俺の手を振り払い襟元を直すと。
「それでは失礼します。分かっていると思いますが、この一件はキャンセルする事は出来ませんのでご了承ください」
そう言い残し、男は去っていった。
…。
……。
………。
「────パパ」
静まり返った部屋にLの声が響き渡る。
俺を呼んでいる。でも、その呼び掛けに応える余裕は今の俺にはない。
「………」
無言で立ち尽くし、そして崩れ落ちた。
「………」
どうすればいい。どうすればいいんだ。
俺は一体どうすればいいんだ?
「………」
立ち上がる勇気もない。
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