第二話 不吉な気配と隠された謎
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りなかったから父さんが手伝いに来てて色々とハプニングを起こしていたな。アレは放送事故並だったが、その反響か次の日からお客さんの数は増え、謎のブームを巻き起こした。
千鳥 叶瀬。
俺の双子の姉であり、超の付く天才。
正に、母さんの生き写しでそれこそ何でも出来る。
凡人の俺と違って何事も楽しそうに取り組むその姿は少し…羨ましい。
現在は海外の高校に留学────いや、飛び級して今は大学生か。とまぁ、そんな具合で日本を離れており、数ヶ月に一回程度の頻度で帰ってくる。なんでも将来の夢はお嫁さんとアーム・スレイブの開発者になる事らしい。なんとも相まった壮大な夢を持つメルヘンな少女だこと。まぁ、姉さんならなんにでも成れるだろうかどうでもいいけどさ。
そうして俺。千鳥 蒼太は平凡で何の目立った所のない高校生だ。
優秀な双子の姉と違って無能で、才能も無ければ容姿も平凡。やはりとても母さんの子供とは思えない。
見て分かる通り、俺は完璧に父さん似で…別に、父さんを卑下している訳ではないが少しは母さんのいい所を受け継ぎたかったと思ってはいる。
妬み、執着、憧れ。
あんな出来のいい姉を持ったら比べられるのは当然で、嫌な事も沢山あった。
まぁ、今は海外留学中で日本に家に居ないからある意味、清々するが…決して嫌いな訳ではない。普通に姉として人間として尊敬しているし誇りに思っている。だが、双子として比べられるのが嫌なだけだ。
「………」
もし、俺と姉さんが双子でもなく姉兄でもなかった。
もし、俺に姉さんにはない秘められた才能を持っていたなら。
そうやってある筈のないもしも『if』の可能性に縋ってしまう。そんな可能性なんてある筈も無いのに…。
そう。そんな可能性なんて微塵もない。でも、そうなら姉さんはどうなんだろうか?
こうやって普通の日常を送るだけの弟を見て、姉さんはどう思うのだろうか?
もしかして、あの時と同じ事を言うのでないのか?
考えるだけで恐い。
俺と姉さんは違う。考え方が根本的に違う。
俺は平凡で、姉さんは天才。その時点で発想が違うんだ。
だから、あの時の姉さんの表情と発言は凡人で平凡な俺にとっては恐怖でしかない。
こうして普通に学校に通って授業を受けて友達を作って、普通の日常を生きている俺を多分、姉さんは『嫉妬』してるんだ。
カタカタカタっ。
カタカタカタッ。
カタカタカタッ。
少しずつキーボードを打つ速度が速くなっていく。
複数のパソコンの画面と机に広げられた数々の資料。それらを真剣な眼差しで見比べ、蟹瀬は仕事にのめり込んでいた。こんなに真面目になって仕事をする姿を見せるのは相当レアだ。もしかしたらこの生涯、一生見る事は叶わないかも。
「
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