第二話 不吉な気配と隠された謎
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昔の母さんにそっくりだが…」
「昔とか、そういう若かった頃を強調する言い方はやめなさい」
ニコッと笑顔だが、笑ってるのに恐い。これは嫌な予感────。
「いや、母さんは今でも綺麗だぞ?」
父さんの突然の発言に母さんは頬を染める。
これは予想外の発言。俺もご飯粒を吹き出す所だった。
「え、そ、そう。ありがと…」
母さんは父さんの視線から目を逸らし、ちまちまとご飯を食べ始めた。流石の母さんも急な不意打ちには動揺を隠せない様子。さて、余所者はさっさと退散しますかね。
「ご馳走、」
食べ終えた料理の食器は自分で片付けるのが千鳥家のルールだ。
手早く食器を水に漬けて、食器棚に置かれている弁当箱を取る。
そして洗面所に向かって顔を洗い、歯を磨く。寝癖は…問題ない。
「じゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい。気を付けてね」
「分かってるよ。もう、子供じゃないんだから」
「いや、母さんの言う通りだ。通学中に何らかのテロに巻き壊れ────」
「はいはい。父さんの言ってる事は気にしなくていいから早く行ってらっしゃい」
「う、うん。分かった」
父さんは…たまに変な事を言う。
なんでも海外に住んでいた時の癖が未だに残っているとか何とか。
まぁ、日本は平和な国だからテロとかそういう事に事に対しての対応は覚束無いかも知れない、と心の隅に留めておく
「さて、今日もスタートだ」
千鳥家の家族構成。
千鳥 宗介。
父親である千鳥 宗介は婿入りで母さんと結婚し旧姓は相良 宗介。
左頬に大きな傷跡が特徴的で、その傷跡は海外に住んでいた時、テロに巻き込まれて負ったらしい。
らしい…というのも、この話はとても曖昧で本当にテロに巻き込まれて負ったのかすら怪しい。意外とお茶目な父さんの事だから野良猫に引っかかれて負った名誉の負傷かも。
職業は、なんなんだろ。父さんは家で仕事の話は全くしないから不明。
スーツで家を出る事もあれば母さんの指定した私服で出掛ける事もあるので余計に特定しずらい。
千鳥 かなめ。
俺の母さんであり、怒らせたら世界で最も恐ろしい女性。
喫茶店のオーナーであり、主婦を兼任する万能人。
とても器用な人で、料理から家事、運動から勉強まで何でもこなせる。たまに、俺は本当に母さんの子供なのか?と疑問に思う事もあるが、瓜二つである父さんの顔を見て「あぁ…俺って、なんで父さん似なんだろ」と愚痴をこぼすともしばしば。
それを聞いた時の父さんの反応は「うむ。その点に関しては済まないと思っている」と素直に謝罪してくるのは今でも慣れない。いや、一生慣れないな。
そして母さんの運営する喫茶店『ソウスケ』は中々の繁盛ぶりでテレビの取材を受けた事もある。確か、その日は人手が足
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