第二話 不吉な気配と隠された謎
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朝の目覚めは、とても憂鬱だ。
「────────」
むくりとベッドから起き上がり、カーテンを開くと鬱陶しいくらい眩しい太陽の日差し。
まだ眠っていたい…という欲求に苛まれながら立ち上がり────こうして俺、千鳥 蒼太の一日は始まる。
高校生になってはや数ヶ月。
中学生気分から高校生としての生活に慣れ始めた頃、いつもの日常は普段通りにやってくる。
「蒼太、おはよう」
リビングに降りると台所では母さんが朝食の準備をしていた。
そして、その隣で食器を並べる父さん。
「おはよう」
母さんが朝食を作り、父さんは食器の準備をする。
普段通り、いつもの風景だ。
でも、母さんの話だと昔の父さんはかなりの不器用で箸を手に持って食事するのが苦手だったらしい。なんでも料理の作法というに親しみが湧かないらしく、今でも覚束無いが、今では少し箸の使い方が下手な青年…っと言った所だ。
「………」
父さんは、日本人だ。
なのに箸の使い方が下手なのは昔、父さんは海外で暮らしてしたらしく日本に来たばかりの頃は常識知らずで母さんを困らせていたらしい。
でも、そんな常識知らずの父さんだったからこそ母さんは父さんを好きになった…。そして現在に至るわけだ。
「さて、準備完了!
さっさと食べて今日も一日頑張っていこーう」
朝食と昼食の準備を同時に終えた母さんは料理をテーブルに並べていく。
「「「頂きます」」」
家族三人の朝食が始まった。
「蒼太ぁ、醤油取って」
「はい」
「母さん。醤油付けすぎだと思うが?」
すりおろしニンニクとすりおろし大根を掛けた卵焼きに醤油を満遍なく降り注ぐ母さんに父さんは驚く。
「いいのいいの。
今日は休みだし外に出ないから」
「いや、そういう意味で言ったのではなく…」
「気にしない気にしない。この絶妙なバランスが最高なのよ」
そう言って朝食にがっつく母さん。
父さんはやれやれっといった表情でお味噌汁を一口。
さて、俺も早く食べないと学校に遅刻してしまう。
「あ、そういえばお姉ちゃんから手紙来てたよ」
「手紙?」
「そっ。なんでも来週辺りに帰ってくるんだってさ」
「来週辺りって…」
何とも曖昧な帰宅報告。
まぁ、姉さんらしいと言えば姉さんらしい。
「そうか。なら、久々の家族全員揃っての団欒だな」
父さんはとても嬉しそうに笑う。
普段はいつも無愛想な無表情だが、実は喜怒哀楽はしっかりとしていて緊張してる時は全身から滝のように汗を流すし、嬉しい時はこうやって笑顔を見せる。
「そうねぇ。もっと具体的にいつの何時頃に帰ってきますよぉーって教えてくれれば料理の献立とか楽なんだけど…まぁ、そういう所はお父さんに似たんでしょうね」
「そうか?
叶瀬は、
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