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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第百十四話 貸し借りなんて些細な事、です。
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れならば最初から何もしなければ良かったのと同じ事。それを様々な形で幼少のころから教えてくださったのは他ならぬ姉上ではありませんか?」
「・・・・・・・。」
「何よりもフロイレイン・ジェニファーの死を無駄にする気ですか?」
「・・・・・・・。」
「そしてフロイレイン・フィオーナらがどう思うかをお考えになったことはありますか?」
「・・・・・・・。」
「ご自身で教示なさったことを、ご自身で翻すというのであれば、私は敢えて姉上を軽蔑します。」
「・・・・・・・。」
「イルーナ姉上。私たちの背後には、死者たちだけでなく、幾千幾万の民がいるのです。このままではかの者は帝国に逆侵攻を行い、片端から有人惑星を消滅させるでしょう。フェザーンと同様に。そうなれば、いずれ帝国の民は滅んでしまう。」
「私たちは帝国の軍人であり皇帝陛下にお仕えする責務があります。しかし、それ以上に、いえ、それよりもずっと大切なのは、民を守ることではないでしょうか。それを教えてくださったのはヴァンクラフト様、ほかならぬあなたです。」
「・・・・・・・。」

イルーナは黙ってラインハルトとキルヒアイスの言葉を聞いていた。

「姉上。今すぐにとは言いません。ですが私たちは元帥府の会議場でお待ちしています。あなたはわが軍の参謀総長だ。それにふさわしい職責を果たす義務があります。そして・・・私たちに教えてくださったことをあなた自身の手で示していただきたい。」

 二人が立ち去った後も、イルーナはその場から動かなかった。ローエングラム陣営の参謀総長は自分を責めていた。ラインハルトとキルヒアイスの言葉を聞いているうちに、自分が如何に恥ずかしい言動をしたのかを理解したのだ。

(馬鹿・・・・・。私は、どうしてあんなことを・・・・・。)
「そうよ。あなたはとんでもない弱みを見せたわね。」

 サクサクと草を踏む音がした。顔を上げると、アレーナが立っていた。左手を軽く腰に当ててこちらを見ている。その姿勢のまま彼女はさらに近寄ってきた。

「教え子には厳しく、自分に甘く。あなたがまさかそんなことをするとは思わなかったわ。」
「・・・・不覚だったわ。そう言わざるを得ない。あなたも私を見て軽蔑したでしょう?」

 アレーナはつかつかと近寄ってきた。一瞬ラインハルトと同じようにされるのかと思ったが、彼女はイルーナの横を通り過ぎ、くるっと振り向いた。

「いいんじゃないの?」
「えっ?」
「お姉さんだからって、全く弱みのない完璧な人なんて、とっつきにくいだけでしょ。たとえ転生者であろうが、教官だろうが、軍の要職についていようが、あなたはあなた。一人の人間だってこと。」
「・・・・・・・・。」

 折から吹いてきた春風に眼を細め、アレーナは空を見上げた。イルーナ
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