逆さ磔の悪魔
ニア・ミス
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「私も、つまるところは同じです。どのような形であれ、私が貴方の特別であるならそれでいい、と。例え、貴方から向けられる感情が憐憫だけだったとしても、私は……私達は、それでいいの。」
まったく、と壬生森は呆れたように言いながら、彼女の差し出した左手の薬指には填めず、手の内に握らせる。
それでもドクンッ、と加賀は自分の心臓の高鳴りを感じた。
「必要な時が来たら使いなさい。古い上にずっと稼動してなかったものだ。不調が起きた場合はすぐに解除するように。」
彼の心配など、まったく、不要だ。
加賀は、昂っている自分が、恐ろしいほどしっくり来ていた。
まだ、もらっただけなのに、こんなにも
「……あまりにも久しぶりの感覚で、気分が高揚しますね。ですが、あとひとつ、足りないものがあります。」
「なんだ?」
答えを聞くより早く、加賀は壬生森の唇を捉える。
まるで初な乙女のような、軽いキス。
壬生森が身動きする間もなく、加賀は離れる。
「タバコ、少し控えたほうがいいと思うわ。では、行くわね。」
「ん、あぁ……行って、こい。」
加賀は壬生森の言葉に、微笑みだけ返して、つかつかと司令室から出ていく。
そして、バタンと扉が閉まったあと、壬生森は椅子に身を投げ出す。
似たような顔で、本当に……
早く、CICに戻るべきだろう。
しかし、今は少しでも休みたいと思う。
壬生森は、とにかく疲れた。
今はまだ、動きたくない。
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