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彼願白書
逆さ磔の悪魔
オープニング・ムーヴ
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ないと熊野は思う。
だが、不要と思う念押しを言うと、なぜか彼は、僅かに嬉しそうにするのだ。

言うのを待っていたかのように。

やはり彼は、変人だと思う。
そして、そんな変人を慕う私は?
熊野はそこまで考えていつもの結論に苦笑する。

なんだ、同じ穴の狢じゃないか。







「提督〜!大変じゃ!大変じゃあ!」

ガチャン、となかなかいい音を鳴らしながら廊下をバタバタと走る勢いのまま、執務室に入ってきたのは利根だった。

「蒼征は見つかったか?」

「見つかったどころじゃないぞ!沖合いでドンパチ始めとるのじゃ!敵は見える限りで航空機のみ、蒼征の翔鶴と瑞鶴の航空機で迎撃してるが数が多くて止めきれてないのが現状じゃ!このままだといつ、蒼征の母艦二隻が空襲されるか!」

利根の言葉に、金城は引き摺られかけた。
空母艦娘二隻分の航空機とはいえ、その中で対空迎撃出来る機数となると、そこから総数はがくりと減るだろう。
しかし、そこでふと気付いたのだ。

「翔鶴と瑞鶴の機体しか迎撃に出ていない。それは確かなんだな?」

「?……そうじゃが、それがどうしたのじゃ?」

「いや、それだけはっきりすればいい。位置を正確に出してくれ。迎えを出さねばならんだろ。」

気を利かせた大淀が、大テーブルに海図を広げて、現在進行形で航空機越しに利根が目にしている状況を示していく。
こつん、こつん、と駒が置かれていき、だいたいの蒼征の防戦一方な場面が正確に示されていく。

「ん?なんじゃ?」

利根が間の抜けた声を出したのは、その最中だった。

「どうした?」

「蒼征の艦から探照灯がチカチカしとるんじゃ……モールスかのぉ?」

「読み上げろ。」

「んー、とじゃな?『ラフィンフォクス、リクエスト、アタックミッション、ターゲットコード、『リバースド・ナイン』、グリッド……』」

利根越しに伝えられる発光信号の内容を元に、大淀は大きい赤の駒を海図の上に置く。
それと同時に、金城は生きている有線の内線通信の受話器を取る。

「金剛、俺だ。」

『darling?何かあったネ?』

金剛の受話器越しの返事は、いつもより険しくあるものの、その声の張りは万全な証だ。

「ああ、直ちに警戒待機より攻撃態勢に移る!『ラフィンフォックス』より攻撃支援要請、攻撃目標は『リバースド・ナイン』!作戦、開始だ。」

『……私達の出番ネ。ンー、待っていた甲斐があったネ。』

金剛の緊張がわかる。
それ以上に滾る、奥底の熱量も。
今回は、大丈夫だ。
そう、信じることが、金城の仕事だ。

「金剛、今度こそ仕留めるぞ。」

『モチロン、ネ。それじゃ、出撃するヨ!』

「出撃後の
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