OPENING2:アローラ、俺にとっての平凡な異世界
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ておくか。どうせポケモンバトルになるだろう」
「では、いったん帰りますか?」
「そうだな。時間まで体力は温存しておきたい」
リュウヤはアネモネの手を握り、広場から自宅へ帰ろうとする。アネモネもはにかんでその手を握った。
この世界に転移してから二年、右翼曲折あって手に入れた島キングとしての立場。傍にいたい人。守りたい居場所。己が主人公の物語を終えた青年は。
冷静に、アネモネと繋ぐ手を狙って放たれた一本の矢を、片手で持つ竹刀で受け止めた。矢は竹刀にめり込み、鈍い音を立てる。即座にモンスターボールからピジョットを出し、アネモネの小さな体を抱き寄せた。
「フォトショップの上だ、ピジョット!」
「ジョオ!!」
矢の飛んできたほうへ即座に『エアスラッシュ』を放つピジョット。一見何もない虚空だが、確かに物の動く気配がした。見えない気配は移動して、リュウヤとアネモネの前に立つ。
「何の真似だ。島キャプテン・マズミ」
「ふふふっ、さっすがあたしとお姉ちゃんとその他大勢を押しのけて島キングになったおにーさん。おっとりアネモネちゃんと違って反応がいいね。でもわざわざアネモネちゃんを抱きしめる必要ってあったのかな? どさくさに紛れて変なとこ触ってない? あ、あたしはおにーさんにならまんざらでもないからいつでも言ってね?」
「聞こえなかったか? 何の真似だ、と聞いたんだ」
「マズミ、お姉さま……その……」
名前を呼ばれると気配は姿を現し、ジュナイパーとその背に乗る少女、アネモネの姉であるマズミが悪戯な笑みをして現れる。
リュウヤは突然の襲撃にも動揺せず、鋭い目でマズミを睨む。彼女の見た目はアネモネとそう変わらない小柄だが、草食動物のような焦点を合わせるより全体を見まわす瞳からはいまいち感情が読み取りづらい。そして行動も奔放だった。
突然抱きしめられ赤面したままのアネモネが、なんといっていいか言葉を選んでいるのを、マズミは待つことなくしゃべる。
「別に手を狙ったのはおにーさんとアネモネちゃんが手をつないでるのが妬ましかったとかそんなんじゃないよ? あたしはおにーさんが構ってくれればそれでいい。特別な一番になれなくてもいいけど、無視はされたくないの。アネモネちゃんもそれはわかってるしおにーさんもわかってるから真剣に『何の真似だ?』って聞いてくれるんだよね?」
「あの、リュウヤはこれから怪盗さんの相手を……」
「知ってるよ? アネモネちゃんがお手紙を見つけてから慌てて出ていこうとしたけどお茶をもっていってあげようとして水筒の用意して、その時にお茶ちょっとこぼしちゃったから床拭きしてそれから走って出てきたのあたし見てたもん。そしたら転ぶんだからほんと実はわざとやってるんじゃないの
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