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戦闘携帯への模犯怪盗
OPENING2:アローラ、俺にとっての平凡な異世界
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本来この世界の人間ではない。既に違和感を覚えているかもしれないが、アローラには剣道というスポーツも、竹刀という道具もない。
 二年ほど前、リュウヤ……いや、浦島竜也はいつものように部活の剣道場で稽古を終えた後、先輩から頼まれごとをして古い蔵からもう使われていない面や籠手を運び出そうとした。
 その時、丁度一つの籠手の中に、一枚の汚れた熨斗らしきもので飾られたくすんだ紙が入っていた。
 何かのお祝いでもらったものか。もしかしたら中にお金が入っていまいか。そんな軽い気持ちで竜也は紙に手を触れた。
 その瞬間くすんだ紙は真っ白に、汚れた熨斗は輝かしい金色に変化し。

「突然空に開いた穴に吸い込まれた俺は、目が覚めたらここにいた……そしてこれからも、この島が俺の居場所だ」
「今聞いてもすごいことですよね。リュウヤ、あの時さえ驚いていなかったけど……」
「……よくある話だったからな」

 二年間、いろんなことがあった。いきなり見知らぬ異世界に飛ばされ、ひょんなことから代表者争いに巻き込まれ、しかもほかの候補者が何の因果か自分とそこまで年の離れていない女性ばかり。はてはその女性たちの何人から好意を向けられると来たものだ。
 この世界の誰がどう聞いても無茶苦茶な話だが、リュウヤにとってはその全てが驚きに値しない。
 予想していたかといえば全くそうではない。
 状況をなんとかするための苦労だってたくさんした。
 悩みがなかったと言えば嘘になる。
 だがそれでも、彼にとって、彼のいた世界にとっては今の一連など、ありがちな物語でしかない。きっとどんな出来事が起こったとしても、彼にとっては『よくある話』でしかないのかもしれない。それくらい、彼のいた世界はたくさんの情報で溢れていた。

「それで、怪盗からの手紙は?」

 平坦な声で、リュウヤは話をもとに戻す。アネモネの握りしめている手紙を受け取って、中を見た。
 赤と青の水玉模様の便せんには、こう書かれている。

『本日午後三時、コニコシティジュエリーショップ秘蔵のお宝、『黄金の竹の鉄扇』をいただきに参上する。怪盗クール・ピーター・ルーク』

 結局何で出来ているのか名前からさっぱり読み取れない宝は、確かにリュウヤとアネモネの家にあるものだ。

「どうしましょう、警察に連絡をしたほうが」
「役に立つとは思えんが、一応な」

 見た目は金色の扇だが、材質は金属ではない、しかし鉄のように固い謎の物質で出来ており、貴重品だが売値をつけるのも難しい品なのだ。あの怪盗は値段云々よりも珍しいものを欲しがる傾向にあるため白羽の矢が立ったのかもしれない。  
 アネモネからもらった水筒のお茶を飲み、一息つく。そして

「……今日の稽古はやめ
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