西暦編
第八話 リミテッド・オーバー@
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の進化は急速に進む。
見上げるほどの球体が収縮し、収縮し、収縮し――――人間よりふた回り大きい程度になって、ようやく球体が崩れ始めた。
来る、と身構えた勇者たちより先んじて、進化途中のバーテックスへと攻撃を仕掛けたものがあった。
上空高くより落ちる八条の流星――――赤原猟犬が、最後の獲物へと牙を剥く。
それぞれ異なる方向から狙う魔弾を、バーテックスが弾くことなどできるはずがない。万に一つ、全ての弾丸を迎撃できたにしても同じこと、真紅の猟犬はその身を砕かれるまで追い立てることを止めはしない。
だが、逆を言えば、砕かれてしまえばそれまでということだ。
「……なッ!?」
バーテックスの直上で、魔弾全てが砕け散る。
その一瞬前の攻防に、若葉は驚愕を抑えられない。勇者の強化された視力は、目の前の『巨人のような』バーテックスが何をしたのか、その一部始終を捉えていた。
化け物は、腕のように伸びた部位で四つの魔弾を弾いていた。
その弾かれた魔弾が、弾かれなかった残りの魔弾に衝突し、互いを砕きあったのだ。偶然にしては出来すぎた現象に、若葉の背に悪寒が走る。
間違いない。
巨人型バーテックスは、狙ってあの芸当を成し遂げたのだ。
「……馬鹿な、バーテックスにそんな……」
頭部のない巨人のようなバーテックスの腕が更に膨れ上がり、巨大な棍棒のようになった。
そして、
「来るぞ……ッ!!」
若葉の警告と同時、白い巨体が飛翔した。
音すらも置き去りにし、バーテックスは狙いを定めた獲物へと肉薄する。
「く、避け、」
「て、や――――――!!」
避けられない、と確信して刀を構えた若葉の前に、友奈が飛び出していた。
気合いと共に突き出した拳と棍棒がぶつかり合い、
「うぁ…………ッ!?」
衝突寸前に翻ったバーテックスの一撃が、友奈の小柄な身体を横薙ぎに吹き飛ばした。
辛うじて手甲を滑り込ませていなければ、致命打になったことは間違いないほどの剛撃。
転がる勇者に追い打ちをかけるべく、巨人型のバーテックスは四肢のような器官を膨張させた。二回りほども膨れあがった巨躯が、次撃の威力を嫌でも想起させる。
「させる、ものかぁぁあああッ!!」
「高嶋さんに……よくもッ!!」
その身体に、二筋の軌跡が走った。
前と後ろ、勇者の放った二つの斬撃が足を模した器官の一つを斬り飛ばしたのだ。当然、バランスを崩したバーテックスの身体に、剣戟の雨が降りかかる。
「やぁ――――!!」
大鎌で斬りかかりながら、千景はその手応えに戦慄した。
勇者の猛攻は、確かにバーテックスの身体を損傷させていた。防戦に回っている敵に比べて、手数の上でも圧倒している。
だが、浅い。
より強く、より速く放たれ
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