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彼願白書
逆さ磔の悪魔
ケース・スタディ
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くらいには、この空母は航空戦に長けてます。」

「なら、懐かしの南雲機動部隊で行きますか?」

赤城の提案は至極当然のものだ。
二隻で止まらないなら、四隻で止めにかかるのは当然だ。
で、空母4隻の集中編成となれば当然真っ先にいわゆる南雲機動部隊編成になるだろう。

「空母艦隊の護衛は、摩耶と初月。で、例の空母を直接叩くのは私と金剛を中心にした打撃艦隊でいいか?」

武蔵の問いに、金城は首肯く。
他に手などない、基本に忠実な戦法だろう。
相手がネームレベルという懸念事項こそあるが、基本は対空母だ。
突飛な戦法を必要とする事態ではない。

「打撃艦隊が空襲を受けた際を想定すると、触接も考え、本命の艦隊にも最低限の航空戦力が必要かと思います。」

静かに資料に目を通していた加賀の指摘は尤もだ。
主力となる打撃艦隊と言えど、エアカバー無しでは戦えまい。

「じゃ、そっちは私と翔鶴姉で付くわ。それでいいよね?」

「私は問題ないと思うけど、翔鶴?何か言いたげね。」

瑞鶴の提案に、加賀は首肯こうとしたが、壁際で腕を組んで口元に手を当てて思案顔の翔鶴の態度に思うところを感じた。
何か言い出しそうなのだが、翔鶴自身が発言を躊躇っているような。
そんな様子だ。

「提督、これはかのネームレベルを我々だけで倒すプランですか?もしそうであるなら……提督は、我々だけでこのネームレベルを撃破出来るとお思いですか?」

「蒼征の到着と、リバースド・ナインの接近……どちらが早いかのチキンレースは趣味じゃねぇ。壬生森がこのフィリピン海での戦闘を想定している以上は、こっちに向かって来ているのは間違いねぇだろう。ましてや事前にこっちに仕事を回してきた。つまり、壬生森には蒼征の到着よりリバースド・ナインの進攻が早い公算があるっつーことだ。」

「だから、壬生森は最初から到着までの時間稼ぎをさせようという意図で、私達に囮の話を振ってきた……そして、その時間稼ぎは『時間稼ぎ』程度の意識では成り立たない。ならば、ということですか。」

「ネームレベル相手に手加減出来る余裕はねぇ。だからこそ、俺達でリバースド・ナインを仕留める。その心積もりと算段で用意すべきだ。」

「……まったく、度し難いですね……敵も、味方も。」
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