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彼願白書
逆さ磔の悪魔
ケース・スタディ
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ているものだけでも、よくもまぁ、こんなの並べて世界のひとつも滅ばずに済んだものだと、言いたくもなりますが……で、今回の黒い空母もネームレベル認定されてこそいますが、挙げた他のネームレベルとは根本的に違う点があります。」

大淀はメガネを指で上げたあと、ホワイトボードに写真を貼っていく。
それらはアングルや被害に違いがあれど、全ては『リバースド・ナイン』が撃破され、沈んでいる写真。

「このネームレベルは通常の戦力での撃破が4度、確認されています。此度は5度目の出現……これをどう見るかで、量産型の強力な深海凄艦とするか、超常のネームレベルとするか、市ヶ谷でも判断が割れたようです。現実的なのは前者なわけですが、それを正式に決定する閣議前の総理レクで、こちらに向かっている『蒼征』の壬生森提督が後者であると主張し、証拠も提出したことから、見事に引っくり返りました。」

大淀が明石にキューの合図を出し、明石がプロジェクターを起動する。

それは上空からの偵察機映像だろうか。
傷付いた姿のリバースド・ナインの空撮映像で、遠目だったそれが最大望遠になる。
傷に見えるそれは、紅く光り、どんどん小さくなっていく。

「自己修復……!しかも、速い!」

そして、映像は急にガタガタと揺れて乱れる。
そして、カメラそのものが空から落ちたらしく、落下しながらも空中を捉える。
黒い飛行機の影が、空撮していただろう彩雲を撃ち落としたらしい様子を捉え、そのまま落ちていく。

そこで映像はブラックアウトして終わる。

「自己修復の速度もそうですが、そもそもこの空撮は4度目に明らかに海中に没したのを確認したあとに高出力の空電ノイズが確認された海域で撮影されたものです。」

「高出力の空電ノイズ……その時のネガスペクトラム観測はどうなっている?」

「残念と言うべきか……ばっちり観測されてますよ。この空撮箇所を中心とした広範囲に。」

あとから部屋に入った青葉が、武蔵の質問に答える。

ほい、追加資料です。
そう言って、青葉はテーブルに更なる追加の資料を広げる。

「今となっては群体の早期発見にも然程寄与せず、個別の観測では“ネームレベル”くらいの出力がないと深海凄艦を個別に正確に観測出来ない、と下火になってしまった衛星によるネガスペクトラム観測ですが、物持ちがいいのは救いですね。あの映像の撮影時に、確かに同地点で小規模ながらネガスペクトラムを観測しています。壬生森提督も、これを根拠にネームレベルと踏み切ったと見ていいかと。」

「実際、ネームレベルと言えど基本的には普遍的な空母だ。初?、それさえ防げれば本来なら『蒼征』が出るまでもない。そうだろう?」

「防げれば、ですけどね。この空母は二航戦からあっさりと制空権を奪い取る
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