第5章:幽世と魔導師
閑話15「最期の弾丸」
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ク・シルエット》”
「(これだけでは目晦ましにはならない。現に、さっきは居場所を一瞬で見極めた。おまけに、その時に使ったのは矢。……遠距離攻撃も普通にできるという事だ)」
幻影を生み出し続け、少しでも時間を稼ごうとする。
同時に、思考を巡らせて何とかして隙を作ろうと画策する。
「(俺が放った砲撃魔法のおかげで、敵の纏っていたバリアのようなものはなくなっている。……ただし、目に見えている範囲では、だが。くそ……相手が未知すぎる。ヴァリアブル系の魔法もバリアを突破しただけで、通じるとは思えない。……それに……)」
そこまで考えて、ティーダは失った右腕に視線を向ける。
極限状態にいるおかげか、痛みを思考の外に追いやれている。
そのために痛みによる動きの鈍りがほとんどなくなっているが……
「(……片腕では、魔力弾の展開数が減ってしまう)」
そう。これではティーダの手数が減ってしまう。
ただでさえ格上の相手で、通常の魔法では威力不足なのだ。
通じる程の威力では隙を晒す危険性が高いため、手数で補うのが定石だ。
しかし、片腕を失った今では、それをすることも難しい。
「はぁっ!!」
―――“Variable Barret”
―――“Variable Shoot”
幻影を用意しつつ、魔力弾を連続で放つ。
少しでも数を補おうとリンカーコアを酷使したからか、ティーダの胸から痛みが走る。
それでもなお、魔法の制御は止めずに魔力弾を動かす。
「(ここだっ!!)」
いくつかの魔力弾が切り裂かれたのを見た瞬間、砂塵を起こすようにティーダは一部の魔力弾を守護者の周りに撃ち込んだ。
砂塵と幻影。そして魔力弾。
三つの目晦ましを行い、その隙に逃走を試みた。
……だが。
「逃がさないよ」
―――“呪黒剣-真髄-”
「ッッ……!?」
逃げ出そうとしたティーダを阻むように、黒い剣が地面から突き出してきた。
それにより、ティーダは足を止める事となる。
「(自我はないと思っていたが、喋れたのか!?……いや、それよりも……)」
攻撃の用途には使わないからか、その黒い剣は巨大なだけでティーダに当てようとはしていなかった。……が、それによって包囲されてしまい、逃走が出来なくなる。
「(高い……空に逃げても、矢で撃ち落とされる……!)」
唯一空からなら脱出が可能だが、矢を扱う事からそれもできないと悟った。
何より……
―――“弓技・矢の雨-真髄-”
……せっかく用意した魔力弾と幻影も、矢の雨によって全て失ったのだか
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