第5章:幽世と魔導師
閑話15「最期の弾丸」
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高速機動魔法を発動させる。
その判断は正解で、寸前までティーダの首があった箇所を刀が通り過ぎていた。
「っぁ!?」
だが、急な機動にバランスを崩してしまう。
そのまま、ティーダは仰け反るように倒れ……
……前髪が斬り飛ばされた。
「ッ―――!?」
―――“Rapid move”
その瞬間、ティーダは体勢を考慮せずにもう一度魔法を発動した。
守護者と位置を入れ替えるように移動し、すぐに起き上がった。
「(動きが緩慢でこれか……!)」
守護者が振り返るまでの僅かな時間で、ティーダは思考を巡らす。
明らかに正面にいた時より背後に回った方が対応が遅い。
それに気づいたため、刀の早さに戦慄しつつも戦略が練れた。
「(……決して、正面には立たない……!)」
正面に立てば、背後に回る……つまり、視界から外れる事すら困難になる。
そのため、振り返る前にティーダは動いた。
方向は振り返る反対側。背後へと回り続けるように動く。
「(……あぁ、何てことだ。なんで、こんな絶体絶命の時に頭が冴える。思考がはっきりする……!まるで、まだ足掻けるって本能が叫んでるみたいだ……!)」
“死ぬ”と悟ったからこその境地なのか、ティーダの集中力は限界を超えていた。
その状態だからこそ、思考が速くなり、頭が冴える。
まるで、少しでも生きる時間を長引かせるかのように。
―――「お兄ちゃん」
「ッ……!」
脳裏に、妹のティアナが過る。
たった、それだけでさらにティーダは覚醒する。
「(ああ。そうだ……!可能性が少しでも残っているっていうのなら、俺は生きる……!生きて、ティアナの、妹の待つ家に、帰るんだ……!)」
目を見開き、魔法を発動させる。
本来なら時間を僅かに掛けるため、即座に放てば失敗するような魔法。
しかし、この時のティーダは限界知らずとなっていた。
「ッ……行け……!」
―――“Shoot Barret”
―――“Variable Barret”
弾丸の如き魔力弾を連射する。
背後を取るように動き続けていたため、魔力弾は守護者の側面から迫る。
「(やはり通常の魔力弾では碌に当たらない。だが!)」
それらの魔力弾は先ほどと同じように、瘴気に逸らされる。
このままでは通じないが、もう一つの射撃魔法は違った。
「っ!」
「(斬られた!……だが、あのバリアらしきものは突破した!)」
多重弾殻射撃。元々バリアを使う相手に放つ魔力弾。
魔力弾に
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