第5章:幽世と魔導師
閑話15「最期の弾丸」
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「ッ……」
手が震える。体が震える。
ティーダにとって、霊力と瘴気は知らない存在だ。
ロストロギアによっては、瘴気に似たモノを生み出すものがあるだろうが、少なくともティーダはその類を見た事がなかった。
……その上で、直感的にソレが危険な存在だと理解できた。
「『こちらティーダ・ランスターです!次元犯罪者の次元転送魔法によってどこかの世界に転移した模様!犯罪者の持つロストロギアの効果か、正体不明の敵が出現!……至急、応援を頼みます。どうか、誰かがこの災厄を止める事を、願います。以上』」
すぐさま広域念話による緊急要請を行う。
それは、一種の遺言でもあった。
自分は助からない。
そんな確信が、彼の中に確立していたからだ。
「(この世界がどこにあるのかもわからない。事と次第によっては、今の念話も届いていないかもしれない……。……すまない、ティアナ。俺は帰れそうにない)」
冷や汗が止まらない。震えも止まらない。
目に見える程の瘴気に、ティーダの本能が警鐘を鳴らし続ける。
「(バリアジャケットを纏っていた犯罪者の首を一閃。たったそれだけで斬り落とした。一撃でも食らったら……!)
ィイインッ!!
「(その時点で死ぬ!)」
恐怖を感じながらも、思考は続けていた。
それが功を奏したのだろう。
魔力弾の発射と、守護者が動き出したのは同時だった。
ティーダは、その時点で空中へと逃げていた。
魔力弾が牽制となり、守護者の挙動が一歩遅れ、刀の一撃は当たらずに済んだ。
「(敵の動きは緩慢だ。それでもあの早さ。……魔力弾による牽制を途切らせたらダメだ。常に敵に対処の動きを取らせる……!)」
さらに魔力弾を放つ。
誘導と通常の射撃の両方をデバイスから放つ。
誘導は守護者の背後に回り込むように、射撃は正面から攻める。
「ッ!?」
だが、その二発の魔力弾は瞬時に切り裂かれた。
着地までの時間は稼げたが、すぐに次の行動を起こす事となる。
「くっ……!」
連続でティーダは魔力弾を撃つ。
速度と貫通性を求めた、実際の拳銃などに似た性質の魔力弾で間合いに入られないように守護者へと何度も放つ。
「(冗談じゃない……!斬られるのならわかるが、まともに通じないだと!?)」
しかし、それらの魔力弾は守護者から湧き出る瘴気と霊力に逸らされる。
弾かれないだけマシではあるが、それでもティーダを驚愕させるには十分だった。
「ッ……!」
―――“Rapid move”
今までの経験から、咄嗟に
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