逆さ磔の悪魔
ファーストインプレッション
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ます。」
「で、その空母キラーに対して、君はどう手を打つつもりかね?」
加賀はすっ、と手を軽く挙げる。
背後に控えていた霧島はプロジェクターに繋いでいるPCにUSBを差し込む。
カチ、カチ、とマウスのクリックが二三ほどあって、地図がプロジェクターで壁に映される。
それは、ブルネイを中心とした海図だった。
「彼女を空母殺しだとするならば、誘導は簡単です。空母を出せばよいのです。まず、ある一艦隊を除いた周辺の全部隊に空母の出航を禁じます。例外とするのは、ブルネイ第一鎮守府のみとします。」
そして、ブルネイの周辺から東側の沖合いまで矢印が伸びる。
「その心は?」
「あそこにいる艦娘は、例え100%完璧に奇襲されたとしても、彼女の挨拶代わりの一撃で壊滅するような、柔な艦娘達ではないでしょう?そして彼女達には、我々の到着までリバースド・ナインを全力で足止めしてもらいます。」
「そして、彼女達の相手で消耗したリバースド・ナインを我々が仕留めます。」
「つまり、金城提督のとこの艦娘を捨て石にしてリバースド・ナインを仕留めると?」
「他の艦隊では、捨て石にすらなれません。彼女達なら、捨て石以上の存在足り得るでしょう。」
「だいたいわかった。加賀、その上でいくつかの変更点がある。これが変更されないなら、その作戦は却下だ。」
「変更点……なんでしょう?」
「彼等を捨て石とする前提は却下だ。無傷で帰せ、とまでは言わないが……彼を、私は友人だと思っている。」
「私情ですね。かつて本国の艦隊の2/3は使い潰した貴方の口から聞くとは思いませんでした。」
壬生森と加賀はしばし、無言で向き合う。
叢雲は無表情と言いたくなるような壬生森の表情が、どういうものかわかっている。
「提督、私は貴方がそのように私情を織り込めるようになったことを喜ばしく思うわ。」
「呆れたなら、素直に言いたまえ。」
壬生森の自嘲に、加賀は表情こそ変えずに、目をまっすぐに壬生森に向けて答える。
「いいえ、誓って……これは本心よ。貴方がそう言い出すことを信じていたわ。」
「やぁ、私だ。ミスター・ブルネイ。」
『なんで、この番号を知ってるんだ?アドレス交換なんて、した覚えはないが?』
壬生森が掛けた電話口の向こうは、きっと怪訝な表情をしているだろう。
「実はここにも内務省、くらしの中に内務省、いつもそこにある内務省、だよ。私にとってはピザ屋の注文も、君への電話も、同じ手間だよ。」
『……まぁいい。で、用があるんだろ?』
自分の個人名義の携帯電話の番号を抜かれていては、猜疑心も高まるものだろう。
壬生森は余計なことを省いて、ストレートに話すことに
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