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彼願白書
逆さ磔の悪魔
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てる、とも言える。
これはもう、どうにもならない。

「それじゃ、決まりね。提督に決裁貰ったらやるから、フィッティングまでリラックスして待ってるようにね。じゃ、もう行っていいよ。」

「わかりました。失礼します。」

神風は席から立つと、一礼して工廠から出ていく。
それを見送ったあと、明石は溜め息を吐く。

「夕張、感謝しますね。」

「なんですか?嫌味に聞こえますよ。」

「嫌味なんかじゃない。あなたがいるから、自分がまだ常識を見失わないでいられる。今、間違いなくそう思ったの。」

背筋をぐっと伸ばして、戻して、息を長く吐いて。
明石は引き出しから棒つき飴を出す。
包み紙を外して、咥えて、天井を仰ぎ見る。

「どれだけ言い訳したって、誰かのせいにしたって、選んでいるのは私。そのことを忘れない限り、私はまだこちら側に残っていられる。そう思うのも、言い訳なのかな?」

「言い訳も線引きも、自分で引いたそれを踏み越えない内は正気、ね……」

非難、出来るわけない。
多かれ少なかれ、誰もがどこかで頼みにしていると思うから。
本当に正気なら、そんなことも考えやしないのだろうから。
そして、わかってしまう私もきっと、正気から振れているのだろうから。

夕張は、何も言えない。

明石の向こうに見える、自分の鏡像が、そこにいるのだ。
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