逆さ磔の悪魔
ジャーニーホーム
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らポケットから棒付き飴を出して、包み紙を剥いで咥える。
「必死なんだよ。あいつは。俺達と自分の間にある、絶対的な壁を知っていて、その上でこちら側に踏み入ろうとしているんだ。」
「本当にここの人達は揃いも揃って、新人思いですわね。」
熊野の言葉に飴を咥えたまま、天龍は笑う。
「なんだ?意地悪とか言われるのは覚悟していたが、新人思いと言われる覚えはなかったぞ。」
「だってそうではありませんか。彼女が本来なら越えられない壁をもしかしたら越えるかもしれない。だから面倒を見る、って人達ばかりですもの。」
「団結、してるだろ?」
「本当に、そうですわね。」
そして、そうして団結させているのはやはり……
熊野は風の吹くほうの空を見る。
その先には、彼女の想い人がいる。
「なぁ、叢雲。それは見せつけてるのか?」
「ふふん、羨ましい?」
「んなわけねぇだろ。オレはそんな物好きじゃねぇよ。」
浜松から飛び立った輸送機、その中の席で寝る壬生森に叢雲は腕を抱いて寄り掛かる。
木曾は対面の席でそんな様子を呆れながら見ている。
「やっぱりあんた相手じゃ張り合いがないわね。加賀辺りに見せつけるべきかしら。」
「それはホントにやめてくれ。内紛で吹っ飛ぶ泊地は見たくない。」
叢雲と加賀の仲の悪さは、それはもう折り紙付きで、特に加賀がニライカナイに合流してからは更に目立っている。
連れてきた熊野も悪いが、結論から言えば、そこで叢雲のことを意に介さず寝ている壬生森が、保留を続けているのが一番悪いのだ。
壬生森が結論を出さない理由はなんとなくわかる。
いや、
もしかしたら、結論は既に出ているのかもしれない。
結論が出ている上での留保であるなら、なかなか残酷だ。
そして、一番彼らしい結論とも思えてしまう。
彼の結論はいつだって、言葉を失うほど残酷だ。
「なぁ、叢雲。」
「何よ?」
「結局、お前は加賀が嫌いなのか?」
「加賀個人は嫌いじゃないわよ。むしろ信頼すらしているわ。でもね、こいつ絡みの話なら別。私は、こいつの悩みの種で居たくないのに、アイツは自分からこいつの悩みを悪化させてる。そのことが本当に気に入らない。だから許せないのよ……」
「じゃあ例えば、そう、例えばの話でだ。提督が指輪を3つ用意したとしたら、叢雲はどうするんだ?」
一人は叢雲、もう一人は加賀、最後の一人は熊野。
恐らく、この条件でもここまでにしか指輪を渡さないだろう。
そう仮定したものだ。
「その時は遠慮なく受け取るわよ。たぶん、そこが私達のスタートラインになるから。ただ、私達はそこまで辿り着くことも出来ちゃいないのよ。彼にとってはね、
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