逆さ磔の悪魔
ワーカーショップ
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どうやらこれからの話は長いらしく、明石は奥の冷蔵庫に詰めているラムネの瓶を出して、熊野に差し出す。
熊野は半ば溜め息を吐きながら、そのラムネを受け取る。
「まぁ、型通り一辺倒な答えはそこまでなんだけど、神風の艤装をバラしてみてわかったことがあるの。」
「何かしら?」
こうなると熊野はただ的確に相槌を打つことしか出来ない。
ややこしいことを言い始めそうだ。
「これが、タイプ―マスターシップ神風の汎用艤装展開図、そして中央のログにあった“あの神風”の艤装展開図。そして、目の前にあるのは実際の神風の艤装よ。」
作業台の前の白い壁にプロジェクターで映された二枚の展開図、そしてバラされている艤装。
「注目してほしいのは動力部、つまり予定ではこれからいじくり回す部分です。」
「ん、あれ?これは……どういうことですの?」
二枚の展開図、その動力部。
それが作り替えられている。
「来歴を見たけどあの神風、二回くらい死にかけてますね。その時に背部装備に相当ダメージが入ったみたい。普通なら元通りの復元をするんだけど、トラック泊地の明石は、こんなことをした理由こそわからないけど、神風の艤装の一部を改造していて、 図面の時点ではわかりにくいですが、 彼女はこの時点で通常のタイプ―マスターシップの神風から実際はかなり逸脱した性能をしてますね。内地所属だったら監察に見つかって『お呼び出し』を受けるような内容です。」
「なぜ、そんな改造が通ったのかしら。」
「外地の明石は内地のそれより遙かに多忙でしてね。修復保全改修エトセトラエトセトラ、様々なことを下手したら一人でやらされることもありますからね。この展開図のインデックス化も外地なら審査は自主審査でパス出来てしまいます。そして外地の艦娘のデータは現状、資料室でのカルテのインデックス化のみしかされてないため、監察の目をすり抜けたんでしょう。私もこうして実際に見比べてようやくスペック詐欺に気付けたほどの巧妙さです。専門家でもいなければ監察も気付けないでしょう。」
それで、と明石はプロジェクターの展開図から実際にバラしている艤装を指し示す。
「で、実物のほうはもう中身は神風型の原型すら残ってない、まさしくモンスターマシンです。陽炎型後期ベースの機関にあちこちからとにかく伝達系や過給器やらなんやらもうゴチャゴチャと詰め込み、『ぼくのかんがえたさいきょうのきかんぶ』を無理矢理実現して組み上げた奇跡のようなシロモノです。言ってしまえば芸術品、あるいは欠陥品です。戦闘に耐えうるような耐久性がまるで感じられません。恐らく、この機関を背負ってマトモに海を走れるのは、あの神風ただ一人だけでしょう。」
「で、最終的にどれほどのスペックになりますの?」
「機関の出
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