逆さ磔の悪魔
フォックス・ラッフィング
[1/3]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
XX年9月18日
首相官邸、総理レク
「えー、以上のことからー、個体としては強力ぅ、ではあるーものーの、撃破は確認されておりー、そして間をおいてのー出現でーあることからーこれらの発見、情報からそれぞれがー別個体と判断しー、通常の鬼または姫クラスの亜種として分類、登録をすべきと」
防衛大臣の間延びした、如何にも原稿を読んでいるだけの内容に、聞かされている総理大臣を初めとした出席メンバーは苛立ちや眠気をそれぞれが覚えていた。
そこに、机を叩くような音がする。
「待ってください。対象を空母棲姫の亜種として登録する判断には、こちらの資料を元に、異を唱えたい。」
特定広域海洋害性黒色生物群暫定登録不明個体に関する臨時閣僚会議。
その場において、グレーのスーツ姿の細身の男がまとめた書類を掲げつつ起立する。
それまでつっかえつっかえに間延びしたように原稿を読んで発言していた小太りの中年の男はぎょっとして振り返る。
「キミィ、いったいなんだね!?これは防衛省の公式見解とわかっていてアヤを付けるつもりかね?」
「失礼、あまりにも希望的な観測にすがり、あまつさえ自分達しか知らないと思っている情報を伏せての防衛省の提言にはほとほと呆れまして、名乗るのが遅れました。」
スーツ姿の男は事務員に書類を渡してから、内ポケットから名刺を出して、指で挟んで見せる。
見た目にはともすれば二十代にすら見える若い男が、白い髪に紅い眼の少女を連れて、この会議に来ているのは、一言で言えば「場違い」だった。
隣に座る全体的に白をイメージさせる更に場違いな少女は、呆れた顔で頬杖を突いて「我関せず」の姿勢を取った。
「私、トラックディストラクション……正式には、特定広域海洋害性黒色生物特別指定種によるトラック泊地襲撃事件の調査以降は、魚釣島に引きこもりっぱなしでして、今の会議に集まるお歴々とはほぼ初対面でしょうか。内務省統合分析室室長兼海上保安庁尖閣諸島魚釣島ニライカナイ基地特殊警備本部『蒼征』本部長兼尖閣諸島魚釣島海上保安庁及び海上自衛隊共同参画常設南方海域警備施設『ニライカナイ泊地』設置推進準備室の壬生森秋保でございます。」
『逆さ磔の悪魔』
「相っ変わらず、趣味が悪いわね。」
緊急閣僚会議の終了後、若いスーツ姿の男と白い少女は並んで、廊下を歩いて外へと向かう道中。
少女はうんざりしたように男に言う。
「たまには、ああいうこともしてみたくてね。我々の目的は確かに達成した。さて叢雲、さっさと帰って次の仕事に向かおう。」
男の名前は壬生森。
見た目と実年齢の乖離とどこまでが事実か怪しい経歴、そしてどこまで届いてるのかわからないコネの範囲と、詐欺師みたい
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ