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レーヴァティン
第六十八話 女枢機卿その十三

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「そうするな」
「そうか、そうしたことも今から考えているんだな」
「ああ、徴兵制をするにしてもな」
 久志はあえてこの可能性にしても話した。
「身体検査でかなりでしかも品行方正な奴を選びたいな」
「戦争前の日本軍だね」
 剛は久志のその話を聞いてこの軍隊を思い出した。
「それだと」
「ああ、徴兵制でもな」
「人は選ぶんだね」
「かなり厳密に選んだな」
「実質は選抜徴兵制だね」
「そうしないとな」
 それこそというのだ。
「まともな戦力にならないからな」
「精鋭にはだね」
「マキャベリはそこ失敗したみたいだな」
 君主論で知られるこの人物はというのだ、彼は徴兵制を主張したことでも知られていて実践もしたのだ。
「徴兵制で集めてもな」
「集めた肝心の兵隊さん達がね」
「もう逃げるばかりでな」
 実際にそうであったのだ。
「てんで役に立たなくてな」
「物凄く笑われたんだったね」
「金で動く傭兵より郷土愛を持っている市民軍で戦おうと思ってもな」
「それじゃあね」
「ああ、話にならなかったからな」
 集めた兵達が逃げ惑う様ならだ。
「だからな」
「徴兵をするにしても」
「人を選んでな」
 そのうえで、というのだ。
「やらないとな」
「駄目だね」
「そう思うぜ」
「それは正しいいね」
 剛は久志のその考えをよしとして答えた。
「やっぱりね」
「兵隊にする人も選ばないとな」
「強い軍隊にはならないからね」
「やる気のない奴を引っ張っていってもな」
 徴兵制でだ。
「人を禄に見ないで」
「そうしても数だけでね」
「強くならないからな」
「実際にそうだしね」
「強制徴募隊なんてやってもな」
 かつてイギリスにあった部隊だ、海軍が持っていてそれこそその辺りのならず者でも病院でも無理に船に放り込んで水兵にしていた。
「やっぱり士気がな」
「低いしね」
「士気が高い人間を鍛え上げる」
「これが一番いいってことだね」
「ああ、そうしていこうな」
 軍を持つ時はというのだ。
「やっぱりな」
「本当にそれがいいわね」
 清音もそれでいいとした。
「じゃあね」
「ああ、旗揚げの時はな」
「志願制の軍隊ね」
「それでいくな」
 このことはここで決まった、そしてだった。
 一行はローマにおいて十一人目の情報収集をはじめた、その為に居酒屋にも向かうのだった。


第六十八話   完


                  2018・6・1
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