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レーヴァティン
第六十八話 女枢機卿その十一

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「だからな」
「家庭が崩壊してもか」
「自業自得なんだよ、だからな」
「家庭は大事にしろ、か」
「そうだ、御前もな」
「せめて拠点を決めたらか」
「奥さんに来てもらえ」
 つまりこのローマにというのだ。
「いいな」
「そうだな、それじゃあな」
「いいな、奥さん呼べよ」
「そうするな」
 久志はすぐに手紙を書きそれをヨハネスブルグにいる妻の下に転移の術を使える郵便の者に渡した。そうしてからだった。
 久志はあらためてだ、仲間達に言った。
「これからはここをな」
「拠点にだよな」
「するからな」
 芳直に対してもこう告げた。
「それで奥さんにも書いたけれどな」
「奥さんにこっちに来る様に言ってか」
「あと家具もな」
 そういったものもというのだ。
「持って来る様にな」
「伝えたんだな」
「もう全部な」
 住むにあたって関係のあるものならというのだ。
「持って来てくれってな」
「伝えたんだな」
「ああ、そうしたよ」
「そうか。本当にローマに移るんだな」
「ヨハネスブルグもいいけれどな」
 これまで自分の家と拠点があったその街のことも言う久志だった、その言葉には嫌悪といったものは一切なかった。
「けれどな」
「それでもか」
「ああ、やっぱりこの島を統一するための拠点にするなら」
「ローマか」
「場所も規模もな」
 そういったもの全てがというのだ。
「ここが一番だろ」
「だからか」
「ああ、ここを拠点にしてな」
「旗揚げをしたら動いていくか」
「そうするな。この辺りはどうもこの島で一番豊かだしな」
 ローマの近辺もというのだ。
「ヴェネツィアだってん」
「はい、この辺りは本当に豊かです」
 そのローマにいた夕子も言ってきた。
「土地は肥えて商業も工業も発達していて学問も盛んで」
「しかも人が多いな」
「この辺りを手に入れるとです」
「この島の統一に有利になるな」
「国力では。ただ兵はです」
 それはというと。
「この辺りは大陸一の弱さと言われています」
「そうなんだな、けれどな」
「兵はですか」
「いいさ。鍛えてな」
 そうしてというのだ。
「強くすればいいさ」
「志願制で」
「ああ、徴兵にしてもな」
 この制度についてはこう言った久志だった。
「この辺りイタリアに似てるよな」
「私達の世界で言いますと」
「イタリアも軍隊弱いしな」
 その弱さは伝説的なものがある。
「そう思うとな」
「徴兵制は、ですね」
「あの制度一定した兵力を備えられるさ」
 久志もこのメリットは認めた。
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