STAGE3:おやすみ、私はもうたくさん
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赤く変えて意思表示した。
×■■■×
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・■×■・
■×■×■
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大体こんな感じである。拒否するときは×、同意するときは〇の形になったり、ほかにもいろいろ状況次第で変化する。慣れているラディは表情の変化だけで会話が成立するのか、一対一でしゃべっている時もあるほどだ。
「もう……」
プロテクターが外れ黒いボディスーツとスカーフ姿になったラディは、ため息をつく。さすがに銃を向けるのはやりすぎな自覚があるのか、それ以上文句は言わなかった。
「でも、本当にご飯はいらないの。明日食べるから冷蔵庫に入れといて」
「わかったよ。お風呂は?」
「自分で入れるからいい。あんまり子ども扱いしないで。……今日はテテフの事があるから大人しく負けたけど、次は勝つから」
「楽しみにしてるよ」
「それじゃいこ、レイ」
「アローラ、ラディ」
「……無神経なんだから。はいはい、アローラ」
一応おやすみなさいの返事をした後、ラディはシャワールームに向かう。クルルクも大広間に戻ってちょっと冷めてしまったポケ丼を食べた。それでも十分に美味しいので構わないのだが。
食器の片付けをしてポケ丼とデザートの一部を冷蔵庫に入れてから、クルルクは再び砂浜に寝転がる。考えるのは今日のこと。
「……ラディ、最近変わってきたな」
ポケモンバトルに負けると不機嫌になるのは、いつものことだ。でもしばらく前までは文句を言いつつも一緒にご飯を食べたり、そばにいることが多かった。
一年位前からよくブティックに行くようになって。クルルクともちょっと距離を取るようになった。
昔はとても気に入っていたメレメレライダー、という通称も最近はどこか嫌がってる節がある。
「子ども扱いしないで……か。子どものままでもいいと思うんだけどな、僕は。ライアーもそう思わない?」
「ライ」
ボールの中のライチュウに話しかける。短い頷きが返ってくる。
「『移ろいの靴』も渡せる雰囲気じゃなかったし、あの感じだと明日渡しても嫌がるんだろうし……」
クルルクは予告状に書かれた宝を簡単にあきらめないが、盗んだ宝にさほど執着はしない。もしラディが気に入ったなら、そのままあげるつもりだった。
まあ、折に触れてプレゼントしようと深く考えないことにする。
「次に予告状が届くのはいつかなあ」
彼は、宝が欲しくて怪盗になったのではない。
予告状も、自分が書いて出しているのではない。予告状が届いたらそれを盗む……それがクルルクがこのコテージの主と交わした約束だ。
クルルク──本名クール・ピーター・ルークには、両親がいない。顔も覚えていない。いわ
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