第一章 護れなかった少年
第三十六話 選択(後編)
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ばいい。ただその言葉が頭を横切って消えていく。もうどうしようもない。そんなことはとっくに理解している。だが認めることが出来ない。
駄目だ。このままだと、僕は、僕には選べない。
「Ahー......。随分と難航してるじゃないか」
目線だけを上げ、Pohを見る。
「んー......別に時間がかかるのは構わないんだが、このままだと一生掛かっちまいそうだ」
Pohは少し悩むように顎に手を当てる。少し顎を引き、僕と目線が合った。
「選択に迷うときはこれしかないよなぁ? ソラ」
二ヤァ、と口角が釣り上がる。
「10カウントだ。今から10秒数える内に決めないと、お前ら全員を殺す!!」
「「!?」」
「はぁ!? 何よそれ!! アンタバカなんじゃ無いの!! 大体何でこんなことするのよ!! 私たちが――」
「うる、さい。黙れ」
Pohの言葉に僕とケイが言葉を詰まらせ、メイが今までのを全て発散させるかのように叫ぶ。と、そんなメイにエストックを突きつけるザザ。ジョニーブラックは嬉しそうに口笛を吹き、ヤコブはただただ黙していた。
そんな状況を心の底から楽しんで、Pohは、カウントダウンを始める。
「10」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!」
そんなメイの静止を無視して、Pohはカウントを進める。
「9」
「――ッ!! いいわ、だったら私たち全員を殺しなさいよ」
「ッ!? メイ何を――」
「8」
此方の会話を楽しむように、スローテンポでカウントが進んでいく。
「私たちの誰か一人を殺すぐらいなら、全員で一緒に死んだ方がマシよ!! ねぇソラ、そうでしょ!?」
「......7」
メイのやけくそとも取れる台詞を聞いて口元を歪ませながらカウントを続けるPoh。お前はどうする? そう問いかけられた気がした。
メイの台詞には返答しない。その余裕は無い。
だけど、その選択を選ぶ気はない。二人の内、せめてどっちかだけは絶対に生かす。絶対に死なせてたまるか。
そう心の中で決める。だがその決心とは裏腹に、どうしても一人を選ぶことが出来ない。駄目だ、このままじゃ今までのままだ。無駄に時間を食うだけ。そしてそれは今考えられる中で最悪の選択だ。選ばなければ。犠牲にしなければ。
「6」
「ぅうぅぅぅうう......」
苦悩は続く。どうするどうするどうすればいい。考えども答えは出ない。選択する勇気がでない。親友のどちらかを切り捨てる決断が出来ない。
そんな地獄の中でもカウントダウンは続く。
「......5」
「ぅぅ......あ
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