510部分:第四十話 それぞれの幸せその九
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第四十話 それぞれの幸せその九
「あの娘のことね」
「そうだな」
「えっ、まだ話してないけれど」
すぐに言葉を返してきた両親にだ。陽太郎は驚いた顔で述べた。
「何でわかるんだよ」
「だって。向こうのお家からもね」
「話があったぞ」
「えっ、もう?」
そのことにだ。陽太郎は驚きを隠せなかった。先程まで以上にだ。
「きてたんだ」
「当たり前でしょ。結婚を前提のお付き合いなんて」
「父さん達も驚いたぞ」
「そういえば言ってたかな」
陽太郎は月美の家での彼女の両親との話を思い出した。それだった。
「そんなことも」
「まだ高校一年だけれど」
「交際がこのまま順調に続けばと言ってきているからな」
「それさ。俺まだ」
陽太郎は難しい顔で両親に話した。
「高校一年だから。まだそんなことは」
「考えられなくてもね」
「それでもな」
しかし両親はその彼にまた話すのだった。
「考えておくのはね」
「それはいいことだからな」
「そうなんだ」
両親の話を聞いてだ。とりあえずは考える顔になった。
そうしてそのうえでだ。彼はまた言った。
「それじゃあ。やっぱり」
「じゃあ聞くけれど」
母がだ。にこりと笑って我が子に問うてきた。
「西堀さん嫌い?」
「月美が?」
「そうよ。嫌いなの?あの娘は」
「そんな訳ないじゃないか」
そのことはだ。すぐに反論した。
「何で嫌いなんだよ」
「好きよね」
「当たり前じゃないか。この世で一番好きだよ」
強い言葉で言い切るのだった。
「本当にさ。他の誰よりも」
「じゃあじっくりと考えてね」
「それから決めるべきだな」
「じっくりとなんだ」
両親のその言葉にだ。陽太郎は考える顔になった。言い切った強い顔がそうなってだ。そのうえでまた両親に対して尋ねた。
「他の誰よりも好きだから」
「そうよ。だからこそね」
「幸せにしたいよな」
両親が言うのはこのことだった。
「だからこそよ」
「よく考えてだ」
「交際自体はいいんだよな」
陽太郎は両親が言う中でそのことを尋ねた。
「それは」
「ええ、そうしてね」
「そのうえで考えるといい」
また言う両親だった。
「大学卒業まで時間があるしね」
「その間な」
「何か月美のご両親と言うことが違うような」
「それはまあね」
「人それぞれの考えがあるからな」
だからだというのである。彼の両親はだ。
「それはそうなるわよ」
「やっぱりな」
「じっくりなんだ」
「ただ。決めたらだ」
今度は父だった。強い声で言うのだった。
「もう迷うなよ」
「あの娘を絶対に幸せにしなさいよ」
「ああ、それはわかってるさ」
また強い顔になる陽太郎だった。そのうえでの返答だった。
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